家にシロアリが発生すると、建物の耐久性や資産価値に重大な影響を及ぼします。
「羽アリを見かけた」「床がギシギシ鳴る」といった症状がある場合、放置すると被害が拡大し、修繕費用が高額になってしまうケースも珍しくありません。
この記事では、シロアリの主な駆除方法の種類、自力でできる応急処置、DIY施工のリスク、専門業者の費用相場や選び方までを解説します。
シロアリ被害の初期症状とセルフチェック
シロアリは木材の内部や土の中など、目に見えない場所で活動するので、発見が遅れがちです。
まずは自宅に以下のような症状が出ていないかチェックしてみましょう。
- 春から夏にかけて羽アリを見かけた
ヤマトシロアリは4〜5月の昼間、イエシロアリは6〜7月の夕方から夜にかけて大量飛来します。 - 床がふわふわする・歩くとギシギシ音が鳴る
床下の土台や束柱が食い荒らされ、空洞化している可能性があります。 - 柱やドア枠を叩くと軽い「ポコポコ」という音がする
内部が食害されている証拠です。 - 木くずや土でできた筋(蟻道:ギドウ)がある
基礎の立ち上がりや床下に、シロアリが移動するために作られた土の道がないか確認してください。
専門業者が行うシロアリの主な駆除方法
専門業者によるシロアリ駆除には、主に「バリア工法」と「ベイト工法」の2つの施工アプローチが存在します。
建物の構造や被害状況、ご家庭の環境に合わせて適切な方法を選択します。
バリア工法(液剤散布・注入法)
薬剤を床下の土壌や木部に直接散布・注入し、シロアリの侵入を防ぎつつ既存のシロアリを即効で駆除する方法です。
- メリット
即効性が高く、施工したその日から効果を発揮します。
費用もベイト工法より安価に抑えられるケースが多いです。 - デメリット
床下に潜って散布するため、床下に進入できない構造の家には適用が難しい場合があります。
また、施工直後は薬品のニオイが残る場合があります(近年は低臭性の薬剤が主流です)。
ベイト工法(毒餌設置法)
建物の周囲の土に「ステーション」と呼ばれる専用容器を埋め込み、中に脱皮を阻害する毒餌(ベイト剤)を設置する方法です。
- メリット
シロアリが毒餌を巣へ持ち帰るため、女王アリを含めた巣全体の個体を根絶できます。
薬剤を撒かないため、小さなお子様やペットがいる家庭でも安心です。 - デメリット
シロアリが毒餌を発見して持ち帰り、巣が壊滅するまでに数か月程度の期間が必要です。
定期的な点検・薬剤補充の維持管理費が発生します。
| 比較項目 | バリア工法 | ベイト工法 |
| 駆除スピード | 即効(数日) | 緩やか(数か月) |
| 巣の根絶力 | 接触した群れを中心に退治 | 巣全体(女王アリ含む)を壊滅 |
| 安全性 | 施工直後は薬剤への配慮が必要 | 薬剤を散布しないため極めて高い |
| 適合する家 | 床下に入ることができる住宅 | 床下に潜れない住宅・化学物質に過敏な家庭 |
【緊急時】自力でできる安全な応急処置

室内で羽アリが大量発生した場合、焦って対処すると事態を悪化させてしまうことがあります。
まずは以下の安全な応急処置を行ってください。
やって良いこと(適切な応急処置)
- 掃除機で吸い取る
最も安全で効果的です。
掃除機のノズルで吸い込む際の圧力や摩擦により、羽アリの多くは死滅します。
吸い取った後はパックの口を縛って捨てましょう。 - 粘着テープ(ガムテープ)で捕獲する
発生している壁の隙間や出入り口に粘着テープを貼り付けておくと、飛び出しを防ぐことができます。 - ビニール袋を固定する
壁や床の隙間から次々と出てくる場合は、発生口に透明なビニール袋をテープで貼り付け、袋の中に集めると部屋への飛散を防げます。
絶対にやってはいけないこと
- 市販の殺虫スプレーを直接吹きかける
市販のハエ・カ・ゴキブリ用スプレーにはシロアリが嫌がる忌避(きひ)成分が含まれています。
スプレーを吹きかけると、生き残ったシロアリが驚いて奥へ逃げ込み、家中の別の場所に被害が広がる原因になります。
シロアリ駆除をDIYで行うリスク
ネット通販などで業務用の駆除剤が手に入るため、「DIYで費用を浮かせたい」と考える方もいますが、シロアリの完全DIY駆除は極めて難易度が高く、リスクが伴います。
- 根本解決にならない
目に見える場所だけに薬剤を撒いても、土中や木材の深部に潜む女王アリを倒さなければすぐに被害が再発します。 - 被害範囲の拡大
不適切な薬剤散布によってシロアリの移動を促してしまい、2階や屋根裏など予想外の場所へ被害を拡大させる恐れがあります。 - 床下作業の危険性
床下は暗く、狭く、木片や釘などが飛び出している危険な空間です。
無理な体制での作業による怪我や、防護服なしでの作業による健康被害のリスクがあります。
シロアリ駆除の費用相場
駆除費用は、施工方法や建物の坪数(面積)によって計算されます。
一般的な戸建て住宅(30坪〜40坪程度)の施工費用の目安は以下の通りです。
坪数・面積ごとの施工費用目安(バリア工法の場合)
- 20坪(約66㎡):約8万〜20万円
- 30坪(約99㎡):約12万〜30万円
- 40坪(約132㎡):約16万〜40万円
※1坪あたりの相場は約4,000円〜10,000円(1㎡あたり約1,200円〜3,000円)です。
※ベイト工法の場合は、建物外周1mあたり約4,000円〜6,000円の初期設置費+年間の維持管理費がかかります。
※土台の補修工事や腐朽部分の交換が必要な場合は、別途大工工事費が発生します。
優良なシロアリ駆除業者の選び方
シロアリ駆除は高額になりがちなので、悪質な飛び込み訪問業者によるトラブルも報告されています。
安心して依頼できる業者を選ぶためのチェックポイントを押さえておきましょう。
- 専門協会への加入状況
公益社団法人「日本シロアリ対策協会」に加盟しており、認定資格を持った「しろあり防除施工士」が施工を行っているか。 - 事前調査と見積もりの透明性
床下に潜って撮影した写真や動画を見せながら、状況や施工範囲をわかりやすく説明してくれるか。見積もりに「追加料金の有無」が明記されているか。 - 保証制度の有無(5年保証)
シロアリ防除薬剤の有効期間は一般的に「5年間」です。
施工後5年間の再発保証や無料定期点検がついているかを確認してください。
シロアリ被害は時間が経つほど建物の構造部分を食い荒らし、修繕コストを膨らませます。
羽アリを見かけたり、少しでも異変を感じたりした場合は、まずは専門業者の無料床下調査を活用して現状を把握することをおすすめします。
