バッタの世界は、私たちが公園で見かける馴染み深いものから、農作物に甚大な被害を与えるものまで非常に多種多様です。
この記事では、日本国内で見られる主要なバッタの種類から、見分け方のコツ、さらにはバッタとイナゴの違いまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきたいと思います。
日本で見られるバッタの主な種類一覧
日本には約30種以上のバッタが生息していますが、日常生活で遭遇する可能性の高い代表的な種類をピックアップしました。
ショウリョウバッタ(精霊蝗虫)
日本最大級のバッタとして知られています。
頭部が非常に長く、円錐形をしています。
オスは飛ぶときに「キチキチ」と音を立てるため「キチキチバッタ」とも呼ばれます。
背の低い草地や庭、公園などにいます。
トノサマバッタ(殿様蝗虫)
その名の通り、風格漂う大型のバッタです。
非常に高い跳躍力と飛行能力を持ちます。体色は緑色と褐色の2パターンが存在します。
河川敷や広い草原、埋立地など開けた場所にいます。
クルマバッタ
トノサマバッタによく似ていますが、少し小ぶりです。
後ろ羽に黒い帯模様があり、飛んでいる姿が車輪のように見えることからその名がつきました。
日当たりの良い草地にいます。
オンブバッタ
背中に小さなバッタが乗っている姿をよく見かける種類です。
ショウリョウバッタを小さくしたような形をしています。
上に乗っているのは子供ではなく、オス(小さい方)がメス(大きい方)にしがみついています。
家庭菜園や花壇など、比較的どこにでもいます。
バッタ・イナゴ・キリギリスの見分け方
「バッタだ!」と思っても、実はイナゴだったりキリギリスだったりすることがよくあります。
これらを見分けるポイントは「触角の長さ」と「喉の突起」です。
| 分類 | 触角の長さ | 喉(前胸腹板)の突起 | 主な特徴 |
| バッタ | 短い | なし | 後ろ脚が発達し、ジャンプが得意。 |
| イナゴ | 短い | あり(喉仏のような突起) | 稲を食べる。喉に小さな突起がある。 |
| キリギリス | 非常に長い | なし | 体長と同じかそれ以上の触角を持つ。 |
イナゴの見分け方の裏技
一番確実なのは、バッタの喉元(前足の付け根の間)を見ることです。
ここに小さな棘のような突起があれば、それは「イナゴ」の仲間です。
バッタの生態と一生:卵から成虫まで
バッタは「不完全変態」をする昆虫です。
チョウのように「さなぎ」の期間を経ず、幼虫がそのまま大きくなって成虫になります。
- 産卵(秋)
メスは土の中に腹部を差し込み、泡状の物質に包まれた卵塊を産み付けます。 - 越冬(冬)
多くのバッタは卵の状態で冬を越します。(※ツチイナゴなど成虫で越冬する珍しい種もいます) - 孵化(春〜初夏)
暖かくなると、小さな幼虫が地面から這い出してきます。 - 脱皮
5回〜6回ほどの脱皮を繰り返し、羽が生えて成虫になります。
なぜバッタは大量発生するのか?「相変異」の謎
ニュースなどで、海外のバッタ(サバクトビバッタ)が大量発生して農作物を食い尽くす映像を見たことがあるかもしれません。
これは「相変異(そうへんい)」という現象が原因です。
孤独相と群生相
バッタは、育つ環境の密度(混み具合)によって、姿形や性格が劇的に変化します。
- 孤独相(こどくそう)
仲間が少ない環境で育った姿。足が長く、おとなしい。 - 群生相(ぐんせいそう)
狭い場所に大量の個体がいる環境で育った姿。
羽が長く、体色が黒っぽくなり、非常に攻撃的で長距離を移動するようになります。
日本でもトノサマバッタが稀に群生相化することがありますが、大規模な被害になることは滅多にありません。
バッタを捕まえよう!採集のコツと飼育方法
子供から大人まで楽しめるバッタ採集。効率よく見つけるためのヒントを紹介します。
採集のポイント
- 足音を立てずに近づく
バッタは振動と視覚に敏感です。 - 後ろから近づく
多くのバッタは前方に跳ぶため、後ろから網をかぶせるのが鉄則です。 - 早朝が狙い目
気温が低い朝方は、バッタの動きが鈍いため捕まえやすいです。
飼育に必要なもの
- 飼育ケース
通気性の良いもの。 - 霧吹き
適度な湿度を保つため。 - エサ
そのバッタがいた場所に生えていた草(エノコログサやススキなど)。 - 足場
脱皮をする際に捕まるための枝など。
注意点: バッタは非常に大食漢です。エサを切らすと共食いをしてしまうことがあるので、常に新鮮な葉っぱを入れてあげましょう。
バッタに関するよくある質問(FAQ)
Q. バッタは噛みますか?
A. 基本的に攻撃性は低いですが、大型のトノサマバッタなどを無理に掴むと、強い顎で噛まれることがあります。
痛みを感じることもあるので注意しましょう。
Q. バッタは何を食べますか?
A. 種類によりますが、多くはイネ科の植物(エノコログサ、ススキ、メヒシバなど)を好みます。
オンブバッタなどはクズやシソなどの広葉樹の葉も食べます。
Q. 日本で一番大きいバッタは何ですか?
A. ショウリョウバッタのメスです。
体長は80mmを超え、羽を含めるとさらに大きく見えます。
まとめ:バッタの多様性を楽しもう
バッタは、私たちの身近な自然を象徴する昆虫です。
その種類ごとに異なるフォルムや習性を観察することで、生態系の繋がりを感じることができます。
今度、公園や河川敷に出かけた際は、足元をそっと覗いてみてください。
そこには、トノサマバッタが誇らしげに胸を張っていたり、オンブバッタがのんびりと葉を食んでいたりする、小さな野生の世界が広がっています。






