庭先や公園で見かけると、その堂々とした佇まいに思わず目を奪われる「昆虫界のハンター」カマキリ。
日本にはどんな種類のカマキリが生息しているのか、そして世界にはどのような驚きの進化を遂げた種がいるのか、気になったことはありませんか?
この記事では、カマキリの主要な種類から、それぞれの生態、飼育のコツ、さらには見分け方のポイントまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
カマキリとは?その独特な生態と魅力
カマキリ(蟷螂)は、カマキリ目に属する昆虫の総称です。
その最大の特徴は、前脚が「鎌(カマ)」のような形に進化していることです。
この強力な武器を使い、獲物を一瞬で捕らえます。
カマキリの驚くべき身体能力
- 360度近い視野
頭部が三角形で自由に動き、大きな複眼を持っているため、動くものを捉える能力に長けています。 - 肉食のハンター
バッタやチョウだけでなく、大型の種になるとカエルやトカゲ、時には小鳥を捕食することさえあります。 - 不完全変態
チョウのように「さなぎ」の期間を経ず、幼虫からそのまま脱皮を繰り返して成虫になります。
日本で見られる主なカマキリの種類
日本には現在、約10〜15種類のカマキリが生息していると言われています。
まずは、私たちの身近で見かける代表的な種類を紹介します。
① オオカマキリ
日本最大級のカマキリで、最もポピュラーな種類です。
- 体長: 70〜100mm
- 特徴: 圧倒的なサイズ感。後翅(うしろばね)が黒褐色をしています。
- 生息地: 草原、林の縁、畑など。

② チョウセンカマキリ(カマキリ)
オオカマキリと非常によく似ていますが、少しスマートです。
- 体長: 65〜90mm
- 見分け方: 前脚(カマ)の付け根の間が、オオカマキリは薄い黄色なのに対し、チョウセンカマキリは鮮やかなオレンジ色をしています。
- 後翅: 透明に近い。
③ ハラビロカマキリ
その名の通り、腹部が横に広く、ふっくらとしたシルエットが特徴です。
- 体長: 45〜70mm
- 特徴: 前脚に白い斑点が3〜4個並んでいます。樹上性が強く、木の上が大好きです。
- 色: ほとんどが緑色型ですが、稀に褐色型も存在します。
④ コカマキリ
小型で、地味な褐色をしていることが多い種類です。
- 体長: 30〜50mm
- 特徴: 前脚の内側に「白・黒・赤」の美しい模様があります。
- 生態: 地面に近い場所や、枯れ葉の中に隠れていることが多いです。
⑤ ヒナカマキリ
日本最小級のカマキリです。
- 体長: 12〜18mm
- 特徴: 非常に小さく、翅(はね)が退化しているため飛ぶことができません。森林の落ち葉の下などに潜んでいます。
世界の珍しいカマキリ:驚異の擬態
世界に目を向けると、環境に適応するために驚くべき姿に進化したカマキリたちがいます。
| 種類名 | 特徴 | 生息地 |
| ハナカマキリ | 花びらにそっくりな姿。幼虫は特にピンク色で美しい。 | 東南アジア |
| 枯葉カマキリ | 枯れた葉っぱに擬態。脈まで再現されている。 | 東南アジア |
| ニセハナマオウカマキリ | 「カマキリの王」と呼ばれ、威嚇ポーズがド派手。 | アフリカ |
| ケンモンカマキリ | 非常に細長く、枯れ枝にしか見えない。 | アフリカ・アジア |
豆知識: ハナカマキリは、ただ花に化けているだけでなく、本物の花よりも効率的に虫を引き寄せる「化学的な誘引」も行っているという研究結果があります。
カマキリの種類を見分ける「3つのチェックポイント」
似たような見た目のカマキリ。見分ける際は以下のポイントに注目しましょう。
- カマの付け根の色:
- オレンジ色ならチョウセンカマキリ。
- 薄黄色ならオオカマキリ。
- 前脚の斑点:
- 白い突起状の斑点が並んでいればハラビロカマキリ。
- 後翅の色:
- 広げた時に黒っぽい部分が多ければオオカマキリ。
カマキリの飼育方法:種類ごとの注意点
カマキリをペットとして育てるのは、子供から大人まで人気があります。
基本のセット
- 飼育ケース
体長の3倍以上の高さがあるもの。 - 足場
脱皮の際にぶら下がるためのネットや枝が必須です。 - 霧吹き
飲み水代わりと湿度維持のために毎日行います。
エサについて
カマキリは「動くもの」しかエサと認識しません。
- バッタ、コオロギ、ハエなどの生きた昆虫。
慣れればピンセットから生肉や昆虫ゼリー(一部の種類)を食べることもありますが、基本は生餌です。
種類別のコツ
- ハラビロカマキリ
樹上性なので、背の高いケースに枝をたくさん入れてあげましょう。 - オオカマキリ
食欲旺盛なので、共食いを防ぐため必ず単独飼育にします。
カマキリのライフサイクル:卵から成虫まで
カマキリの寿命は、野生下では約1年。その一生はドラマチックです。
産卵と卵鞘(らんしょう)
秋になると、メスは「卵鞘」と呼ばれるスポンジ状の塊を産みます。
この中には数百個の卵が入っており、冬の寒さから守られます。
孵化(ふか)
春(4月〜5月頃)、卵鞘から一斉に小さな赤ちゃんカマキリが飛び出します。
この瞬間は圧巻ですが、すぐに激しい生存競争が始まります。
脱皮と成長
幼虫は5回から8回ほどの脱皮を繰り返し、成虫になります。
最後の「羽化」で立派な翅を手に入れます。
カマキリに関するよくある質問(FAQ)
Q. メスがオスを食べる(共食い)のは本当?
A. 本当です。交尾中や交尾後にメスがオスを食べてしまうことがあります。
これは、メスが産卵のための栄養を蓄えるための合理的(かつ過酷)な行動です。
Q. カマキリに毒はある?
A. 毒はありません。ただし、カマの力は非常に強く、挟まれると出血することもあるので注意が必要です。
Q. 褐色と緑色の違いはなぜ?
A. 同じ種類でも、育った環境(周囲の色や湿度)によって色が変わります。
これを「多型」と呼び、外敵に見つかりにくくするための戦略です。
まとめ:カマキリの多様性を楽しもう
カマキリは、その獰猛なハンターとしての側面と、環境に溶け込む繊細な擬態能力を併せ持つ魅力的な昆虫です。
- オオカマキリの迫力
- ハラビロカマキリの愛嬌あるフォルム
- ハナカマキリの芸術的な美しさ
種類を知ることで、散歩道で見かける一匹のカマキリが、また違った表情で見えてくるはずです。
もし見つけたら、是非前脚の付け根や翅の色をチェックして、その種類を特定してみてくださいね。
注意: 野生のカマキリを採集する際は、地域の生態系を壊さないよう配慮し、飼いきれなくなった個体を別の場所に逃がすのは避けましょう。


