昆虫採集の王様とも言えるトノサマバッタ。
その力強いジャンプやかっこいい姿に魅了され、「捕まえて飼育してみたい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
しかし、トノサマバッタは繊細な一面もあり、正しい知識を持たずに飼育すると、すぐに死んでしまうことも少なくありません。
この記事では、トノサマバッタを長生きさせるための飼育ケースの選び方、毎日のエサ、温度管理、そして注意すべき「脱皮」のコツまで、初心者にも分かりやすく解説します。
トノサマバッタ飼育の基本情報(寿命や生態)
具体的な飼い方を見る前に、まずはトノサマバッタの寿命や生態について知っておきましょう。
| 項目 | 詳細 |
| 成虫の寿命 | 野生では数ヶ月(秋に成虫になり、冬を越せずに死ぬことが多い) |
| 飼育下の寿命 | 環境が良ければ半年以上生きることも。 冬越しに成功する例もあります。 |
| 活動時期 | 6月〜11月頃(年2回発生することが多い) |
| 体長 | オス:約35〜45mm / メス:約50〜65mm(メスのほうが一回り大きい) |
★ワンポイント
トノサマバッタには、緑色っぽい「緑色型」と、茶色っぽい「褐色型」がいます。
これは育った環境の密度や湿度によって変化するもので、種類が違うわけではありません。
トノサマバッタの飼育に必要な準備(飼育セット)
トノサマバッタを自宅に迎えるために、まずは以下の4つのアイテムを準備しましょう。
特に「ケースの大きさ」は非常に重要です。
① 飼育ケース(大きめのプラスチックケース)
トノサマバッタは非常にジャンプ力が強い昆虫です。
狭いケースだと、跳ね上がった際に天井や壁に激突し、頭や足を痛めて弱ってしまいます。
- サイズ目安
中型(横幅30cm以上)〜大型のケース - 高さも重要
後述する「脱皮」の失敗を防ぐため、高さがあるケース(20〜30cm以上)を選んでください。
② 底床(土や飼育マット)
ケースの底には、昆虫用のマットや、目の細かい土を2〜3cmほど敷き詰めます。
- メリット
排泄物(フン)の水分を吸収し、ケース内が不衛生になるのを防ぎます。
また、メスが産卵する際にも土が必要です。
③ 足場・隠れ家(止まり木や枯れ草)
トノサマバッタは、つるつるしたプラスチックの壁を登るのが苦手です。
- 用意するもの
枯れ枝、割り箸、鉢底ネット、あるいは長めの枯れ草
ケース内にこれらを立てかけるように配置することで、バッタがリラックスできる足場になり、運動不足も解消されます。
④ 霧吹き
ケース内の湿度を適度に保つため、またバッタの水分補給のために使用します。
トノサマバッタの「エサ」は何がいい?
トノサマバッタはイネ科の植物を主食とする草食性の昆虫です。
基本的には「タダ」で手に入るものがほとんどですが、新鮮なものを与えるのがコツです。
おすすめの野草(イネ科)
- エノコログサ(ネコジャラシ)
どこにでも生えており、バッタが大好物です。 - ススキ
葉が硬めですが、大きめのトノサマバッタはバリバリ食べます(手を切らないよう注意)。 - メヒシバ・オヒシバ
空き地や道端によく生えている雑草です。
身近な野菜(代用食)
野草が手に入らない冬場や緊急時は、以下の野菜でも代用可能です。
- キャベツ、レタス、チンゲンサイ、小松菜
- 注意点
野菜を与える際は、農薬が残っていないよう、しっかり水洗いして水分を拭き取ってから与えてください。
微量の農薬でもバッタにとっては致命傷になります。
エサやりの頻度とコツ
バッタは想像以上に大食漢です。エサは毎日、新鮮なものに取り替えましょう。
葉が乾燥してカサカサになると食べなくなります。
水を入れた小さなボトル(ペットボトルのキャップ等)に草の根元を挿しておくと長持ちしますが、バッタが水に落ちて溺れないよう、綿などで隙間を埋める工夫をしてください。
日常のお世話と長生きさせる飼育のコツ

トノサマバッタを健康に育てるためには、日々のちょっとした管理が運命を分けます。
① 日当たりと温度管理
トノサマバッタは太陽の光が大好きです。日光浴をすることで体温を上げ、消化を促進します。
- 置き場所
午前中だけ日の当たる場所や、レースのカーテン越しの明るい窓辺が理想です。 - 夏の注意点
直射日光が当たり続けると、ケース内がサウナ状態になり一瞬で死んでしまいます。
夏場は風通しの良い涼しい場所に置き、室温が30℃を超える場合はエアコンの効いた部屋に移動させましょう。
② 水分補給の方法
バッタも水を飲みます。基本的には新鮮なエサの葉から水分をとりますが、1日に1回、ケースの壁面や葉に向けて霧吹きで軽く水を吹きかけてあげると、そこから直接水分を補給します。
※バッタ本体に直接水を大量にかけすぎないよう注意してください。
③ ケース内の掃除
バッタはたくさん食べる分、たくさんのフンをします。
フンを放置するとカビや悪臭の原因になり、病気を引き起こします。
2〜3日に一度は、底に溜まったフンや食べ残しの古いエサを取り除き、ケース内を清潔に保ちましょう。
最大の難関!「脱皮」を成功させる方法
もし捕まえてきたトノサマバッタがまだ幼虫(羽がない、または小さい状態)の場合、成虫になるために何度も脱皮を繰り返します。
この「脱皮」の瞬間が、飼育において最も死亡率が高い危険な時間です。
脱皮失敗(脱皮不全)の原因
バッタは、枝などに逆さまにぶら下がって脱皮をします。
このとき、以下の状態だと脱皮に失敗し、体が曲がったり、そのまま死んでしまったりします。
- 足場がない
つるつる滑って途中で落下してしまう。 - 高さが足りない
脱皮中に地面に体がついてしまう。
成功させるための対策
- 背の高いケースを使う(体長の3倍以上の高さが目安)。
- しっかりした足場(天井まで届く枝やネット)を必ず固定して設置する。
- 脱皮が始まったら絶対に触らない、ケースを揺らさない。
脱皮直後のバッタの体は非常に柔らかく繊細です。
完全に体が乾く(半日ほどかかる)までは、そっとしておいてあげてください。
トノサマバッタ飼育でよくある質問(FAQ)
Q1. 共食いはしますか?
A. 可能性はあります。
トノサマバッタは基本は草食ですが、狭いケースに高密度で飼育したり、エサ(特に水分やタンパク質)が不足したりすると、他の個体をかじってしまう「共食い」が発生します。
- 対策
1つのケースに入れるのは2〜3匹までにする。
エサを切らさない。時々、鰹節やドッグフードを少量与えるとタンパク質補給になり、共食い予防になります。
Q2. オスとメスの見分け方は?
A. お尻の形と体の大きさで見分けられます。
- メス
体が大きく、お尻の先端に土を掘るための「産卵管(尖った突起)」があります。 - オス
メスより一回り小さく、お尻の先端が丸みを帯びてすっきりしています。
Q3. 冬越しはできますか?
A. 基本的には成虫のまま冬を越すのは難しいですが、温度管理次第で可能です。
野生では秋に卵を産んで生涯を終えますが、室内でヒーターなどを使い、20℃〜25℃前後の暖かい環境をキープし続ければ、年を越して1月〜2月頃まで生きることもあります。
まとめ:愛情を持ってトノサマバッタを育てよう!
トノサマバッタの飼育ポイントを振り返ってみましょう。
- ケースは大きめ、かつ高さのあるものを選ぶ
- エサは新鮮なイネ科の野草(ネコジャラシなど)を毎日与える
- 脱皮のために、しっかりとした「足場」を設置する
- 直射日光による高温多湿(蒸れ)に気をつける
一見、どこにでもいる身近なバッタですが、じっくり観察してみると、エサを器用に食べる姿や、大迫力のジャンプなど、新しい発見がたくさんあります。
是非この記事を参考に、適切な環境を整えて、トノサマバッタの飼育にチャレンジしてみてくださいね。
