「ツマグロオオヨコバイ」と聞いて、ピンとこない方もいるかもしれません。
しかし、その鮮やかな黄色い体と黒い翅の先端から、「バナナムシ」という愛称で呼ばれる、身近な昆虫です。
このツマグロオオヨコバイは、一体何を食べて生きているのでしょうか?
この記事では、その多様な食性(餌)と、農業分野で懸念される作物への影響について、詳しく解説します。
ツマグロオオヨコバイの主な餌は「植物の汁」
ツマグロオオヨコバイは、カメムシやセミと同じく「半翅目(はんしもく)」に属する昆虫です。
この仲間に共通する最大の特徴は、植物に口吻(こうふん:針のような口)を刺し込み、その汁を吸って栄養を得るという食性です。
成虫も幼虫も同様に、様々な植物の汁を吸って成長します。
1. 非常に幅広い食草(食べる植物)
ツマグロオオヨコバイは特定の植物だけを食べるわけではなく、非常に幅広い種類の植物の汁を吸います。
この多様な食性が、彼らを都市部を含む日本各地で普通に見られる要因の一つです。
- 草木の汁全般
一般的な草木の葉や茎の汁を吸います。 - 庭木
ユリやアジサイなども吸汁源となることがあります。
2. 農作物も吸汁源に!農業害虫としての側面
幅広い食性を持つため、ツマグロオオヨコバイは農作物も吸汁の対象とします。
この点で、「農業害虫」として認識されることがあります。
特に被害が報告されている、あるいは吸汁の対象となる主な作物は以下の通りです。
| 分類 | 作物の例 |
| 果樹 | クワ、ブドウ、柑橘類(ミカンなど)、カキ(柿)、イチジク |
| 豆類 | ダイズ、ラッカセイ、マメ科牧草(アルファルファなど) |
| その他 | チャ(お茶)、イネ科牧草 |
【ポイント】
ツマグロオオヨコバイは様々な作物を吸汁しますが、多くの場合は実害が出るほどの影響は少ないとされています。
ただし、クワなど一部の植物では、吸汁や産卵による傷が枝の生長を阻害することがあるため注意が必要です。
ツマグロオオヨコバイの生態と名前の由来
ツマグロオオヨコバイについて理解を深めるために、その特徴と名前の由来も見てみましょう。
| 項目 | 詳細 |
| 愛称 | バナナムシ(鮮やかな黄色い体色に由来) |
| 名前の由来 | 「ツマグロ(褄黒)」:翅の先端(褄)が黒いことに由来。「オオ」:他のヨコバイより大きいことから。 |
| 移動方法 | 危険を感じると「横に這う」ように素早く移動するため「ヨコバイ(横這い)」の名が付いた。 |
彼らは、日中は草木の葉の裏などに隠れており、夜になると飛んで移動します。
まとめ
ツマグロオオヨコバイ(バナナムシ)の餌は、「非常に幅広い種類の植物の汁」です。
- 主な食性
幼虫・成虫ともに植物に口を刺し込み、汁を吸う。 - 食草の多様性
特定の草木だけでなく、様々な種類の植物から栄養を得る。 - 作物への影響
クワ、ブドウ、ダイズなど農作物も吸汁対象となるが、大発生しない限り深刻な被害は少ないことが多い。
この黄色くて目立つ昆虫を見かけたら、それは様々な植物の恵みを受けて生きているサインかもしれません。


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