小さくて愛らしい姿で私たちに親しまれているテントウムシ。
その多くはアブラムシを食べてくれる益虫として知られていますが、実は植物を食べてしまう害虫も存在します。
この記事では、代表的なテントウムシの種類ごとに、見分け方や生態、私たちの暮らしへの関わりについて詳しく解説します。
益虫の代表格|アブラムシの天敵
多くのテントウムシは、アブラムシやカイガラムシといった植物の汁を吸う害虫を捕食します。
ここでは、家庭菜園やガーデニングでよく見かける、代表的な益虫のテントウムシを紹介します。
ナナホシテントウ (Coccinella septempunctata)
日本のテントウムシの中でも最もポピュラーな種類です。
- 特徴
鮮やかな赤色の背中に、7つの黒い斑点があります。
名前の「ナナホシ」はこの斑点の数に由来します。 - 生態
主にアブラムシを捕食します。
成虫だけでなく、ワニのような形をした幼虫も非常に食欲旺盛で、大量のアブラムシを食べてくれます。
冬は集団で落ち葉の下などで越冬します。
ナミテントウ (Harmonia axyridis)
最も身近な益虫ですが、その模様は非常に多様です。
- 特徴
模様のパターンが豊富で、赤色の背中に黒い斑点があるタイプ、黒い背中に赤い斑点があるタイプなど、さまざまな個体が存在します。
斑点の数も一定ではありません。 - 生態
ナナホシテントウと同様にアブラムシを主な餌とします。
ナミテントウは様々な環境に適応する能力が高く、都市部でもよく見かけられます。
ヒメカメノコテントウ (Propylaea japonica)
とても小さな益虫ですが、その食欲は侮れません。
- 特徴
体長は数ミリと小さく、薄い黄色やオレンジ色の背中に、細かい黒い斑点が複数あります。 - 生態
他のテントウムシと同様にアブラムシを食べますが、
特に植物の葉の裏などに隠れている小さなアブラムシを見つけるのが得意です。
小さいため見落としがちですが、庭の生態系を支える重要な存在です。
害虫の代表格|植物の葉を食べるテントウムシ
すべてのテントウムシが益虫というわけではありません。
中には、農作物や園芸植物を食害する草食性のテントウムシも存在します。
ニジュウヤホシテントウ (Henosepilachna vigintioctopunctata)
家庭菜園のナス科野菜にとって厄介な存在です。
- 特徴
黄土色や茶色の背中に、黒い斑点が28個あります。
体には短い毛が生えており、光沢がなくつや消しに見えるのが特徴です。 - 生態
ジャガイモ、ナス、トマト、キュウリなどのナス科やウリ科の葉を食害します。
葉を網目状に食い荒らすため、野菜の生育に大きなダメージを与えます。
オオニジュウヤホシテントウ (Henosepilachna vigintioctomaculata)
ニジュウヤホシテントウによく似ていますが、より大型です。
- 特徴
ニジュウヤホシテントウと同じく、黄土色に28個の斑点がありますが、体が大きく、斑点も大きめです。 - 生態
ジャガイモやナスなどの葉を食べる点でニジュウヤホシテントウと同様です。
見つけたら早めに対処することをおすすめします。
見分け方のポイントと庭での対処法
益虫と害虫のテントウムシを見分けることは、家庭菜園を守る上で非常に重要です。
- 光沢の有無
益虫のテントウムシ(ナナホシテントウ、ナミテントウなど)は、背中がつるつるとした光沢を持っています。
一方、害虫のテントウムシ(ニジュウヤホシテントウなど)は、短い毛が生えているため、光沢がありません。 - 斑点の数
斑点の数も重要な手がかりです。
ナナホシテントウは7つ、ニジュウヤホシテントウは28個の斑点があります。
庭でテントウムシを見つけた時の対処法
- 益虫の場合
益虫はそのままにしておきましょう。
アブラムシを食べてくれる大切なパートナーです。 - 害虫の場合
見つけ次第、捕まえて駆除するか、葉に付いている卵や幼虫も取り除くようにしましょう。
まとめ
一見同じに見えるテントウムシも、種類によってその役割は大きく異なります。
アブラムシを駆除してくれる頼もしい益虫もいれば、野菜を食い荒らす厄介な害虫もいるのです。
今回ご紹介した見分け方を参考に、あなたの庭にいるテントウムシがどちらの種類か確認してみてください。
正しい知識を持つことで、自然の力を活用したより効果的なガーデニングや菜園管理ができるようになるでしょう。
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