「水中の王者」として君臨する日本最大級の水生昆虫、タガメ。かつては身近な存在でしたが、現在は絶滅危惧種に指定されるほど希少な存在となっています。
本記事では、タガメを探している初心者の方に向けて、タガメが好む環境の条件、具体的な採集テクニック、そして絶対に知っておくべき法律の知識を解説します。
1. まず知っておくべき「タガメの法律」と倫理
タガメの採集を始める前に、必ず知っておかなければならないルールがあります。
2020年より、タガメは「特定第2種国内希少野生動植物種」に指定されました。
- 禁止されていること
販売、購入、譲渡(人にあげること)、販売目的の捕獲。 - 許可されていること
趣味としての採集、個人での飼育、研究目的の捕獲。
つまり、「自分で見つけて、自分で育てるのはOKですが、メルカリやSNSで売買したり、友人にプレゼントしたりすることは法律で厳しく罰せられます。
ルールを守って、自然との共生を楽しみましょう。
2. タガメはどこにいる?生息地を見極める「3つの条件」
タガメは環境の変化に非常に敏感です。以下の3つの条件が揃っている場所が、最強のポイントです。
① 「無農薬」または「減農薬」の田んぼ
タガメが激減した最大の理由は農薬です。
近代的なコンクリート張りの水路ではなく、「土のあぜ道」や「素掘りの水路」が残っている場所を探しましょう。
周辺にホタルやサワガニがいるような場所は、タガメが生息している可能性が非常に高いです。
② 餌となる生き物が豊富
タガメは肉食性です。自分の体よりも大きな獲物を襲うこともあります。
- カエル(トノサマガエル、アマガエル)
- 小魚(メダカ、フナ、ドジョウ)
- オタマジャクシ
③ 流れが緩やかで「足場」がある
タガメは泳ぎが得意ですが、基本的には「待ち伏せ型」のハンターです。
- 水草(セリ、コナギ、キクモなど)が豊富に茂っている。
- 稲の根元や、水面に垂れ下がった草の陰。こういった場所に、呼吸用の管を水面に出して潜んでいます。
3. 実践!タガメを捕まえる2つの最強メソッド
【メソッドA】昼間の「ガサガサ(追い込み採集)」
最も確実な方法です。
- ターゲットを絞る
水草の塊や、田んぼの隅、排水口付近のゴミ溜まりなどを狙います。 - 網をセット
下流側や、逃げ道となる方向にしっかりと網のフレームを地面に押し当てます。 - 追い込む
足や手で、水草の根元を激しく揺らします。
タガメは危険を感じると死んだふり(擬死)をして沈むため、泥ごと掬い上げるイメージが大切です。 - 選別
網の中の泥や落ち葉をバケツにあけ、少しずつ広げて探します。
タガメは枯れ葉に擬態しているため、最初は見落としがちです。
「動く落ち葉」がいないか注意深く観察しましょう。
【メソッドB】夜間の「ライトトラップ(灯火採集)」
タガメは夜、新天地を求めて飛行します。
この時、強い光に集まる習性があります。
- 街灯チェック
田んぼの近くにある、昔ながらの「白い光(水銀燈)」の下を探してみましょう。
※最近のLED街灯には集まりにくい傾向があります。 - 自家製ライト
白いシーツを張り、強力なライトで照らす「ライトトラップ」を仕掛けるのも有効です。
4. 準備すべき装備と「刺された時」の対策
タガメ採集は「怪我」への備えが重要です。
- 頑丈なタモ網
水草ごと掬うため、100円ショップの網ではすぐに折れてしまいます。
枠が金属製のしっかりしたものを選びましょう。 - 胴長(ウェーダー)または長靴
水中にはヒルや鋭い枝があるため、素足は厳禁です。 - 厚手のゴム手袋
ここが最重要です。
タガメに指を刺されると、消化液を注入されるため、ハチに刺されたような激痛と腫れが数日間続きます。
「水中の暗殺者」を甘く見てはいけません。
5. 捕まえた後のマナーと持ち帰り方
もし運良くタガメをゲットできたら、以下の点に気をつけてください。
- 複数匹を同じ容器に入れない
タガメは共食いが激しい生き物です。
バケツに複数入れると、帰り道で殺し合いが始まってしまいます。
個別に分けるか、たっぷりの水草を入れて視線を遮りましょう。 - 水温上昇に注意
夏場の車内は一瞬で高温になります。
保冷バッグに入れるなどの対策が必要です。 - 乱獲しない
その場所のタガメを根こそぎ捕まえてしまうと、翌年から姿を消してしまいます。
観察用に必要な分(1〜2匹)だけ持ち帰り、残りはリリースしましょう。
まとめ:タガメとの出会いは「環境保護」の第一歩
タガメを捕まえることは、単なる遊びではなく、日本の豊かな自然環境を学ぶ最高の機会です。
タガメが住める環境を守ることは、他の多くの生き物たちを守ることにも繋がります。
ルールを守り、安全に配慮して、ぜひ「水中の王者」との出会いに挑戦してみてください!


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