夏の風物詩ともいえるショウリョウバッタは、そのすらりとした美しい姿と、高く跳ねる姿が魅力的で、子どもの頃に捕まえて遊んだ方も多いのではないでしょうか。
そんなショウリョウバッタを自宅で飼育して、その生態をじっくり観察してみませんか?
この記事では、ショウリョウバッタの捕まえ方から、必要な飼育グッズ、毎日の世話のポイント、そして知られざる生態まで、ショウリョウバッタの飼育に関するあらゆる情報を網羅的にご紹介します。
ショウリョウバッタを知ろう!基本的な生態と特徴
ショウリョウバッタ(学名:Acrida cinerea)は、日本全国の草むらや河川敷など、日当たりの良い場所に生息する大型のバッタです。
その長い体と、尖った頭部が特徴的で、特にメスはオスの倍ほどの大きさになることもあります。
- 名前の由来
お盆の時期によく見られることから、「精霊」が語源になったと言われています。
漢字では「精霊蝗」と書きます。 - 寿命
野外での寿命は、卵から孵化してから成虫になり、秋に寿命を迎えるまで約3ヶ月〜半年ほどです。
成虫になってからは約2ヶ月間生きることが多いです。
飼育環境下でもこの期間が目安となります。 - 行動
驚いたときに翅をこすり合わせて「キチキチキチ」という特徴的な音を立てて飛びます。
この音は、オスがメスに求愛する際にも使われることがあります。
ショウリョウバッタを捕まえよう!
飼育を始めるには、まずバッタを捕まえることから始まります。
- 捕獲時期
5月頃から幼虫が見られ始め、7〜8月頃に成虫になります。
成虫を捕まえるのがおすすめです。 - 捕獲場所
日当たりの良い草むら、河川敷、公園の広場など。
ススキやエノコログサ(ネコジャラシ)が生えている場所を探してみましょう。 - 捕まえ方のコツ
バッタは非常に警戒心が強く、少しでも近づくとすぐに飛び跳ねて逃げてしまいます。- 網で捕獲
昆虫網を使うのが最も確実です。
草むらの奥にいるバッタを追い込むように捕まえましょう。 - 手で捕獲
静かにそっと近づき、上からかぶせるように素早く捕まえます。
ただし、脚のトゲで怪我をする可能性があるので注意が必要です。
- 網で捕獲
飼育に必要なアイテムとケースの作り方
ショウリョウバッタの飼育はとてもシンプルで、特別な道具はほとんど必要ありません。
必須アイテム
- 飼育ケース
プラスチック製昆虫ケース(中〜大サイズ)が最適です。
通気性の良いものを選びましょう。
メスは大型になるため、できるだけ広いケースを用意してあげると、ストレスなく過ごせます。 - 床材
キッチンペーパーや新聞紙を敷くと、掃除が簡単で衛生的です。
土はダニやカビの原因になるため、基本的に不要です。 - 止まり木・足場
割り箸や小枝を立てかけるように入れましょう。
バッタは垂直な場所を好む習性があります。 - 給水器
水皿に濡らした脱脂綿やティッシュを入れておくと、バッタが溺れることなく水分を補給できます。
霧吹きでケース内に水をスプレーするだけでもOKです。
飼育ケースのレイアウト例
- ケースの底にキッチンペーパーを敷く。
- ケースの四隅に割り箸や小枝を立てかける。
- ケースの片隅に、濡らした脱脂綿を入れた小さな皿を置く。
- 毎日、新鮮な餌となる葉っぱを立てかけるように入れる。
餌と水やりの与え方
ショウリョウバッタは草食性で、餌となる植物は身近な場所で手に入ります。
主な餌(イネ科の植物)
- ススキ
- エノコログサ(ネコジャラシ)
- イネの葉
- トウモロコシの葉
与える際の注意点
- 農薬に注意: 餌にする植物は、絶対に農薬がかかっていない場所で採取しましょう。
- 毎日交換: 枯れたりしおれたりした葉っぱはすぐに取り除き、毎日新鮮なものに交換してください。
- 食べやすいように: 葉っぱは立てかけるように入れると、バッタが食べやすいです。
水やり
- 水皿: 濡らした脱脂綿やティッシュを入れた水皿を毎日取り替える。
- 霧吹き: 1日に1〜2回、ケース内に軽く霧吹きで水をかける。
飼育のポイントと注意点
ショウリョウバッタを健康に飼育するための重要なポイントをまとめました。
1. 温度と湿度管理
- 適温: 25℃〜30℃が理想です。高温多湿には弱いため、風通しの良い、直射日光の当たらない場所にケースを置きましょう。
- 過湿に注意: 湿度が高すぎると、カビや病気の原因になります。床材が濡れすぎないように、こまめな換気と掃除を心がけましょう。
2. 多頭飼育
- ショウリョウバッタは、餌が不足したり、ケースが狭すぎたりすると、共食いをしてしまうことがあります。
- できるだけ1匹ずつ飼育するか、広いケースに十分な餌と足場を用意してあげてください。
3. 脱皮の観察
- 幼虫は成虫になるまでに数回脱皮を繰り返します。脱皮中は体が柔らかく無防備な状態です。
- 脱皮中の注意: 飼育者が手を出したり、ケースを揺らしたりしないように注意しましょう。
- 脱皮後の注意: 脱皮殻(抜け殻)はそのままにしておくと、栄養補給のために食べることがあります。
繁殖について
飼育下でも、ショウリョウバッタの繁殖は可能です。
- 産卵: 秋になると、成熟したメスが土中に産卵管を差し込み、卵を産みつけます。
- 繁殖を目指すなら: ケースの底に深さ5cm程度の湿った赤玉土などを敷き詰めると、産卵しやすい環境を作れます。
- 越冬: 卵はそのまま土中で越冬し、翌年の春から初夏にかけて孵化します。卵の乾燥を防ぐため、冬の間も土の湿り気を保つように霧吹きで水をかける必要があります。
まとめ|ショウリョウバッタの飼育を楽しもう!
ショウリョウバッタの飼育は、シンプルながらも奥が深く、日々の成長や生態を間近で観察できる貴重な体験です。
この記事を参考に、あなたもショウリョウバッタとの楽しい生活を始めてみませんか?
彼らの生き生きとした姿は、きっとあなたの心を豊かにしてくれるはずです。
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