夏の風物詩といえば、セミの大合唱。
しかし、その大きな鳴き声は「うるさい!」と感じる人も少なくありません。
一体なぜ、セミの鳴き声はあんなにも大きく響くのでしょうか?
この記事では、セミの鳴き声がうるさいと感じる科学的な理由から、鳴き声の仕組み、そして代表的なセミの種類ごとの鳴き声の特徴まで解説します。
なぜセミの鳴き声は大きく聞こえるの?科学的な理由に迫る
セミの鳴き声が大きく聞こえるのには、いくつかの科学的な理由があります。
これらを知ることで、夏のセミの声への理解が深まるかもしれません。
1. 求愛のためのアピール合戦
セミが鳴くのは、オスがメスに自分の存在を知らせ、求愛するためです。
数多くのオスが同時に鳴くことで、メスに自分の声を聞いてもらおうと必死にアピールします。
もし、周りにたくさんのセミがいたら、一斉に大合唱が始まります。
この競争の結果、音量がどんどん大きくなっていくのです。
まるで音楽フェスティバルのように、たくさんのセミが自分の声を届けようと競い合っていると考えれば、その賑やかさにも納得がいくでしょう。
2. 特殊な発音器官「発音筋」と「発音膜」
セミのオスのお腹には、「発音筋」と呼ばれる筋肉と「発音膜」と呼ばれる膜があります。
この発音筋を1秒間に数百回という驚異的な速さで振動させることで、音を発生させます。
人間が声帯を震わせて声を出しているのに対し、セミは特殊な筋肉と膜を使って音を生成しているのです。
この非常に効率的な発音システムが、大きな音を生み出す最初のステップとなります。
3. 腹部の空洞が「共鳴箱」に
セミの発音器官で生み出された音は、腹部の大部分を占める「空洞」によってさらに増幅されます。
この空洞は、まるで楽器の共鳴箱のように機能し、発音膜から発生した小さな音を大きく響かせます。
この仕組みのおかげで、セミは体のサイズからは想像もつかないほど大きな音を出すことができるのです。
身近なセミの種類と鳴き声の特徴
日本には多種多様なセミが生息しており、種類によって鳴き声も鳴く時間帯も異なります。
身近なセミを知ることで、夏のセミの大合唱がより楽しくなるかもしれません。
- クマゼミ
「シャシャシャシャ…」と非常に大きな声で鳴くのが特徴です。
都市部や西日本に多く生息しており、特に朝早くから鳴き始めるため、この鳴き声で目が覚める方も多いでしょう。 - アブラゼミ
「ジリジリジリ…」という、まるで油を揚げるような音の鳴き声から名前がつきました。
日本全国に広く分布しており、昼間によく鳴いています。最も身近なセミの一つです。 - ミンミンゼミ
「ミーンミンミンミン…」という、誰もがイメージするセミらしい鳴き声で有名です。
関東地方に多く、朝から昼にかけて活動的に鳴きます。 - ニイニイゼミ
「チー…ジィー…」と、まるで油蝉よりも落ち着いたような、ゆっくりとした鳴き声が特徴です。
梅雨の時期から夏にかけて鳴き始め、他のセミよりも早く姿を現します。 - ツクツクボウシ
「ツクツクツク…オーシツクツク…」と、鳴き声が変化していくのが特徴的です。
夏の終わりから秋にかけて鳴くことが多く、この声を聞くと夏の終わりを感じる人も多いでしょう。
セミの鳴き声はどのくらいの大きさ?人間の耳でどう感じるか
セミの鳴き声の大きさは、種類や個体によって異なりますが、一般的には70~100デシベル程度とされています。
これは、人間の生活環境における騒音レベルと比べると非常に大きな音です。
- 70dB:騒々しいオフィス、電話のベル
- 80dB:地下鉄の車内、電車のガード下
- 90dB:大声での会話、騒々しい工場
- 100dB:電車が通るときのガード下、自動車のクラクション
このように、セミの鳴き声がうるさいと感じるのは、決して気のせいではなく、科学的にも証明されていることがわかります。
特に、複数のセミが同時に鳴き始めると、音はさらに大きくなり、体感ではさらにうるさく感じるでしょう。
まとめ|セミの鳴き声の「うるささ」を楽しむ視点
セミの大きな鳴き声は、オスが子孫を残すための生命活動であり、その鳴き声を大きくするために、体の構造が非常に巧妙にできていることがお分かりいただけたかと思います。
単なる「騒音」と捉えがちですが、セミの種類によって鳴き声や鳴く時間帯が異なるため、耳を澄ませてそれぞれの鳴き声の違いを楽しむのも面白いかもしれません。
今年の夏は、セミの鳴き声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
新たな発見があるかもしれませんよ。
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