秋の草むらで「シリシリ」と鳴くササキリ。
実は「ササキリ」と呼ばれるキリギリスの仲間には、ササキリの他にホシササキリやオナガササキリなど、多くの種類がいることをご存知ですか?
この記事では、日本でよく見られるササキリの種類に焦点を当て、それぞれの特徴と確実な見分け方を解説します。
ササキリの仲間を判別したい方は必見です!
🔍 日本でよく見られるササキリの代表的な種類
ササキリの仲間(ササキリ属:Conocephalus属)は日本に約10種類ほどが知られています。
その中でも、特に身近でよく観察される代表的な4種類をピックアップしてご紹介します。
種類名 | 主な特徴(見分け方のポイント) | 主な生息地 | 鳴き声 |
ササキリ (C. melaenus) | 頭部から前翅にかけての太い黒帯と黒い膝が特徴。ガッシリした体型。 | ササ原、竹林、林縁の下草 | 「シリシリシリ…」 |
ホシササキリ (C. maculatus) | 前翅の腹側(側方)に黒い星状の斑点(ホシ)が並ぶ。触角が非常に長い。 | 開けた明るい草原、低い草地 | 「ジジジジジ…」と地味目 |
ウスイロササキリ (C. chinensis) | 体色が薄い。後脚の膝が黒くない(ササキリとの違い)。体型はスマート。 | 水田の畔、川岸など水辺に近い草地 | 高音の「ジリリリ…」 |
オナガササキリ (C. exemptus) | メスは産卵管が体長に比べて非常に長い(「尾長」の名の由来)。大型種。 | 日当たりの良いススキやチガヤなどの草地 | 「シリリ・シリリ…」と比較的大きな声 |
種類別の詳細な見分け方と生態
これらのササキリの仲間を見分けるには、体色だけでなく、体の特定の部位の形や色、そしてメスの産卵管の形状に注目するのが重要です。
ササキリ (Conocephalus melaenus)
ササキリの最も分かりやすい特徴は、体側に入る太い黒色の帯模様です。
- 体色と模様
鮮やかな緑色(または褐色)で、頭部の左右から前胸背板、前翅の側面にかけて、はっきりとした黒い帯が入ります。 - 脚の特徴
後ろ脚の膝(ひざ)の部分が黒いことも重要なポイントです。 - 体型
ササキリの仲間の中ではがっしりとして太い体型をしています。 - 幼虫
幼虫は頭部がオレンジ色で腹部が赤黒いなど、非常に派手な体色をしています。
ホシササキリ (Conocephalus maculatus)
ホシササキリは、名前の通り「ホシ」が特徴です。
- 翅の模様
前翅の腹側(体の側面)に、黒い小さな斑点(ホシ)が列になって並びます。
これが名前の由来であり、最大の識別点です。 - 脚の特徴
前脚と中脚の脛節の付け根付近にも、黒い小さな斑紋が見られます。 - 生息環境
他の種に比べて草丈の低い、開けた明るい草原を好む傾向があります。 - 鳴き声
「ジジジジジ…」という、ササキリやオナガササキリに比べるとより地味で低い鳴き声が特徴です。
ウスイロササキリ (Conocephalus chinensis)
ウスイロササキリは、色と体型で判別しやすい種類です。
- 体色
名前の通り、色が薄く、全体的に淡い緑色をしています。 - 脚の特徴
ササキリと異なり、後ろ脚の膝が黒くありません。
この点でササキリとの見分けが容易になります。 - 体型
ややスマートでほっそりした体型をしています。 - 生息環境
水辺に近い湿った草地に多く生息します。
オナガササキリ (Conocephalus exemptus)
オナガササキリは、特にメスが非常に分かりやすいです。
- メスの特徴
産卵管が非常に長く、まっすぐに伸びています。
これが「尾長(オナガ)」の名の由来です。体長よりも産卵管が目立ちます。 - 体格
ササキリ属の中では最も大きな体を持つことが多く、体格でも判別が可能です。 - 鳴き声
昼間にも「シリリ・シリリ…」と比較的大きな声で鳴くため、見つけやすい種の一つです。
💡 ササキリの長翅型と短翅型について
ササキリの仲間は、遺伝や環境の影響で、翅が長く発達した長翅型と、短い短翅型が出現することがあります。
特に長翅型は、飛翔能力が高まり、コンビニなどの灯りに飛来することがあります。
翅の長さは種の見分け方にはなりませんが、同じ種でも見た目が大きく変わるため、観察の際には注意が必要です。
まとめ|ササキリの判別は「脚の色」と「翅の模様」に注目!
ササキリの仲間は一見するとよく似ていますが、以下のポイントに注目することで判別が可能です。
- 黒帯と膝の色
太い黒帯と黒い膝があれば「ササキリ」。 - 翅のホシ
翅の側面に黒い斑点(ホシ)があれば「ホシササキリ」。 - 体色と膝
体色が薄く、膝が黒くなければ「ウスイロササキリ」。 - 産卵管の長さ
メスで産卵管が異常に長ければ「オナガササキリ」。
秋の草むらでこれらの小さな音楽家たちを見つけたら、ぜひこれらの特徴を参考に、どのササキリの種類か判別を楽しんでみてください。
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