秋の気配を感じる頃、草むらから聞こえてくる涼しげな鳴き声。
その主のひとりが、ササキリです。
バッタ目キリギリス科に属するこの小さな昆虫は、その生態やかわいらしい見た目から、観察や飼育の対象としても人気があります。
この記事では、ササキリの鳴き声の秘密から生息環境、そして実際に飼育して楽しむための方法まで、詳しくご紹介します。
🦗 ササキリとは?知っておきたい基本的な生態と特徴
ササキリは、キリギリスの仲間の中でも比較的小型で、鮮やかな緑色や褐色をしています。
主な特徴と分布
- 分類: バッタ目 キリギリス科 ササキリ亜科
- 大きさ: 種によって異なりますが、体長は15mm〜28mm程度。
- 体色: 緑色型と褐色型があり、生息環境によって色が異なります。
- 生息地: 日当たりの良いイネ科の雑草が生えた草地や林縁のササ原などを好みます。
- 分布: 日本の本州、四国、九州などに広く分布しています(種によって異なります)。
ササキリの仲間には、ウスイロササキリやオナガササキリなどいくつかの種類がおり、それぞれに微妙な特徴の違いがあります。
幼虫のユニークな姿
ササキリの幼虫は、親とは異なるカラフルな姿をしていることが特徴です。
若齢幼虫は赤黒い色や派手なオレンジ色を帯びることがあり、そのユニークな色合いも観察の楽しみの一つです。
幼虫は6月頃に孵化し、脱皮を繰り返して8月頃に成虫になります。
🎶 涼しげな「ササキリの鳴き声」と鳴く時期
ササキリは、夏の終わりから秋にかけて、私たちに美しい音色を聞かせてくれる「鳴く虫」の代表格です。
鳴き声の表現と特徴
ササキリのオスが鳴くのは、主にメスを呼ぶための求愛行動です。
- 鳴き声
「シリリリ…」「シリシリシリ…」といった、細かく、比較的高音で地味な連続音です。 - 聞こえる時期
主に7月下旬〜11月上旬の晩夏から秋の終盤にかけて聞かれます。 - 活動時間
昼間によく鳴きますが、夜間や気温が低い日にも鳴くことがあります。
高音のため、人によっては聞き取りにくい場合もありますが、草むらで鳴き声が途切れない場合は、比較的容易に姿を見つけることができます。
コオロギなどと異なり、近づいても鳴き止まないことも多いため、観察しやすいのが魅力です。
🏡 ササキリの飼育方法|餌・環境・産卵のポイント
ササキリは、比較的飼育しやすく、その生態を間近で観察できるため、人気の高い飼育昆虫です。
飼育容器と環境
- 容器
プラスチックケースなど、高さがあり立体的に動ける空間を用意します。 - 足場
餌となるイネ科の植物や枝、葉っぱなどを入れて、隠れ場所兼足場を作ってあげましょう。 - 湿度
乾燥に弱いため、水切れしないように注意が必要です。
給水器や湿らせた水苔などを設置し、水を絶やさないようにしましょう。
ただし、過湿も脱皮失敗の原因になるため、通気を良くすることも大切です。
ササキリの餌(食性)
ササキリは雑食性で、植物質と動物質の両方をバランスよく与える必要があります。
具体例 | 補足 | |
植物質 | イネ科植物の葉や穂(エノコログサ、スズメノカタビラなど)、野菜(キュウリ、ナス、リンゴなど) | 特にイネ科の柔らかい部分や穂を好みます。 |
動物質 | ドッグフード、観賞魚の餌、煮干し、ミルワーム、サナギ粉 | タンパク質源として重要です。 不足すると共食いの原因になるため注意が必要です。 |
産卵と越冬
メスは、秋が深まると産卵管を使ってイネ科植物の茎の根元などに産卵します。
- 産卵床
容器の底に湿らせた土(赤玉土など)や砂、水苔などを深めに入れ、イネ科の茎を挿しておくと産卵しやすい環境になります。 - 越冬
卵の状態で越冬し、翌年の6月頃に孵化します。
卵を産み付けられた茎ごと採集し、直射日光の当たらない涼しい場所で、乾燥させすぎないよう管理します。
💡 まとめ|ササキリは秋の自然を届ける魅力的な昆虫
ササキリは、美しい緑色の体、ユニークな幼虫の姿、そして何より秋の訪れを知らせてくれる涼しげな鳴き声が魅力の昆虫です。
採集して鳴き声を楽しみ、その生態を観察したり、適切な環境で飼育したりすることで、自然の小さな世界を身近に感じることができます。
ぜひ、今年の秋は草むらに足を運び、「シリシリ」と鳴くササキリを探してみてください。
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