ルリタテハの魅力に迫る!青い帯が美しいタテハチョウの生態・幼虫・見つけ方

ルリタテハ チョウ

雑木林や都市部の公園でも見かけることのある「ルリタテハ」。

翅を広げた時に現れる鮮やかな瑠璃色(るりいろ)の帯が特徴的なタテハチョウの仲間です。
俊敏に飛び回り、なかなか近づけないミステリアスな存在ですが、その生態や行動を知れば、観察のチャンスはぐっと広がります。

この記事では、ルリタテハの美しい特徴から、幼虫の食草、そして見つけるための具体的なコツまで解説します。


ルリタテハとは?特徴と名前の由来

翅の表と裏の劇的な違い

ルリタテハの最大の魅力は、その名前の由来にもなった翅の「瑠璃色」です。
翅を広げると、黒い地色に鮮やかな青の帯が走り、遠目にも目を引く美しさを持っています。

しかし、一度翅を閉じると状況は一変します。
翅の裏側は茶褐色で、樹皮や枯れ葉そっくりな保護色になっているため、木や地面に止まっているルリタテハを見つけるのは至難の業です。
この「動」(美しい瑠璃色)と「静」(完璧な保護色)のコントラストが、ルリタテハ観察の面白さの一つです。

ルリタテハの名前の由来

「ルリタテハ(瑠璃立羽)」の名前は、その特徴的な姿から名付けられました。

  1. 瑠璃(ルリ):翅の表にある鮮やかな青い帯の色
  2. 立羽(タテハ):翅を立てて止まる習性を持つチョウの仲間(タテハチョウ科)

休憩時に翅を立てて止まる姿をよく見かけることからこの名前が付きました。
また、タテハチョウ科のチョウは前脚が退化しており、歩行時には使わないという特徴もあります。


【ルリタテハの生態】どこで、いつ見られる?

ルリタテハの生息地と活動時期

ルリタテハは北海道から南西諸島まで日本全土に広く分布しており、山地から平地、樹木の多い都市公園や緑地でも見られます。

  • 分布:北海道・本州・四国・九州・南西諸島
  • 出現時期:暖地では年に2〜3回(6〜10月頃)、寒冷地では年に1回(8〜9月頃)発生します。

成虫は力強く俊敏に飛び回り、人の気配にはきわめて敏感です。
しかし、後述する越冬明けの早春には、日光浴のために比較的長時間静止している姿が観察できるチャンスがあります。

ルリタテハの「食性」:樹液や腐果を好む

他のチョウが花の蜜を吸うのに対し、ルリタテハは訪花性が非常に低いことで知られています。
成虫の主なエネルギー源は、クヌギやコナラなどのナラ類の樹液、そして熟して地面に落ちた果実(腐果)の汁です。
特に樹液を吸っているときは、比較的長時間静止しているため観察しやすいでしょう。

ただし、越冬後の早春に活動する個体は、まれにダイコンやアセビなどの花を訪れて吸蜜することもあります。


幼虫の食草と成長:サルトリイバラとホトトギス

幼虫の食草:ユリ科植物

ルリタテハの幼虫の食草は、タテハチョウ科の中では比較的例外的にユリ科の植物に限られます。

幼虫の餌となる主な植物は以下の通りです。

  • サルトリイバラ
  • ホトトギス
  • オニユリ

特にサルトリイバラは、林縁のやや明るい場所を好むため、ルリタテハの幼虫を探す際の大きなヒントとなります。
幼虫は、これらの食草の若葉や新芽に産み付けられた卵から孵化します。

幼虫の姿と特徴(毒棘の有無)

ルリタテハの幼虫は、紫黒色の体に黄白色のトゲ状の突起を多数持つ、一見すると毒々しい姿をしています。

しかしご安心ください、このトゲは無毒です。もし幼虫を見つけても、むやみに触らなければ問題ありません。

5齢になると、体の色がオレンジ色と黒色になるものもいます。
蛹になる前(前蛹)は一所から動かなくなり、やがて茶褐色の蛹になります。


ルリタテハの観察と越冬:見つけるためのコツ

敏感なルリタテハを観察するには、その生態的な習性を利用するのが一番です。

越冬方法と早春の活動を狙う

ルリタテハは、成虫の姿で冬を越す「成虫越冬」を行います。

  • 越冬場所
    大木の洞、岩陰、家屋の隙間、水田の畦の板の裏など、様々なものの隙間に潜り込みます。
  • 早春の活動
    越冬中でも、暖かい日には活動し、日当たりの良い場所で日光浴をする姿が見られます。
    この時期は、人に対する警戒心が比較的弱く、観察しやすい絶好のチャンスです。

オスの占有行動(縄張り)を狙う

オスのルリタテハは、晴れた日の夕方などに、木の葉や地面などの見晴らしの良い場所に止まって縄張りを作ります(占有行動)。
この縄張り行動中は、一度人が近づいて飛び去っても、しばらくすると元の場所、またはその近くに戻ってくる習性があります。

目星をつけた場所で粘り強く待って観察することで、翅を開いた美しい瞬間を写真に収めるチャンスが増えます。
樹液が出ている木や、日当たりの良い林道沿いを重点的に探してみましょう。


まとめ:瑠璃色のタテハチョウを探しに行こう

ルリタテハは、その瑠璃色の美しさだけでなく、樹液を好み、成虫で越冬するという独特な生態を持つ魅力的なチョウです。

幼虫の食草であるサルトリイバラが生えている場所や、クヌギ・コナラの樹液が出ている木、そして早春の日だまりを探すことが、ルリタテハを見つけるための鍵となります。

俊敏なチョウですが、今回ご紹介した「戻ってくる習性」や「越冬明けの日光浴」のタイミングを狙って、是非美しい瑠璃色のタテハチョウを探しに出かけてみてください。

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