日本のカマキリの中でも、ひときわ大きく、その存在感で私たちを圧倒するのが「オオカマキリ」です。
その堂々とした姿に魅了され、一度は自分の手で捕まえてみたい、または飼育してじっくり観察してみたいと考える方は多いのではないでしょうか。
この記事では、昆虫採集の初心者の方でも、オオカマキリを安全かつ確実に捕まえるための具体的な方法と、知っておきたい生態の知識を解説します。
オオカマキリってどんなカマキリ?生態を知れば捕獲はもっと簡単になる!
捕獲の成功率を高めるには、まず相手のことをよく知ることが大切です。
オオカマキリは、日本に生息するカマキリの中でも最大級の大きさを誇ります。
メスは体長が10cm近くにもなり、その迫力はまさに「カマキリの王様」と呼ぶにふさわしいものです。
オオカマキリの特徴
- 大きさ
メスは特に大きく、オスよりも一回り以上大きくなることが多いです。 - 体色
周囲の環境に溶け込むように、鮮やかな緑色と落ち着いた褐色の2つのタイプが存在します。
これらは保護色であり、草むらの中では驚くほど見つけにくいことがあります。 - 生息地
背の高い草が茂る場所を好みます。
具体的には、ススキやセイタカアワダチソウが生い茂る河川敷、田んぼや畑のあぜ道、手入れがされていない公園の草地などが絶好のポイントです。 - 活動時期
夏から秋(7月〜11月頃)にかけて成虫が活発に活動します。
特に、9月〜10月は成熟した個体が多く見られるため、捕獲に最適な時期と言えます。
オオカマキリを捕まえるのに最適な場所と時間帯
効率よくオオカマキリを探し出すには、闇雲に探すのではなく、彼らが好む環境と時間帯を狙うことが重要です。
1. 狙い目の場所|餌が豊富な場所を探せ!
オオカマキリは肉食性で、バッタやコオロギ、チョウ、セミなどを捕食します。
そのため、彼らが集まる場所は、必然的にこれらの餌となる昆虫が豊富にいる場所となります。
- 河川敷や広い草地
ススキやクズなどの背の高い草が密集している場所は、絶好の隠れ家であり、狩りの場でもあります。
草の先端や葉の上をじっくりと探してみましょう。 - 田んぼや畑の周辺
稲穂や野菜の葉に隠れていることがよくあります。
農作業の邪魔にならないように、あぜ道を歩きながら観察してみるのがおすすめです。 - 公園や里山
人があまり通らないような、少し奥まった草むらや、木々の多い場所も狙い目です。
2. 狙い目の時間帯|活動が活発な時間を見極める
オオカマキリは日中の暖かい時間帯に最も活発に活動します。
- 日中(特に午前中から午後にかけて)
太陽が昇り、気温が上がると、カマキリの体温も上がり、狩りのために活発に動き始めます。
この時間帯は、餌を探して移動している個体を見つけやすいです。 - 早朝や夕方
まだ気温が低い時間帯は、草の比較的低い位置でじっとしていることが多いため、見つけやすいというメリットもあります。
オオカマキリの安全な捕まえ方|怪我をしないための実践テクニック
オオカマキリを捕まえる際に最も注意すべきは、その鋭い鎌(前脚)です。
不用意に触れると、棘で怪我をする恐れがあります。
しかし、正しい方法でアプローチすれば、危険を回避し、カマキリにもストレスを与えずに安全に捕獲できます。
1. 準備するもの
- 虫かご
通気性が良く、ある程度の高さがあるものが望ましいです。
オオカマキリはジャンプ力があります。 - 軍手
ケガの防止はもちろん、カマキリを掴む際に滑りにくくなります。 - 捕虫網(任意)
高い場所にいるカマキリや、素早く動く個体を捕まえる際に便利です。
2. 捕まえ方のステップ
- ゆっくりと静かに近づく
オオカマキリは視覚が発達しており、わずかな動きにも敏感に反応します。
急な動きは避け、カマキリの視界に入らないように背後からゆっくりとアプローチしましょう。 - 胴体(胸の部分)を狙う
捕獲の際は、絶対に鎌に触れないことが鉄則です。
カマキリの鎌は、獲物を捕らえるための強力な武器。
まずは、鎌が届かない、羽の付け根から少し上の胴体部分に狙いを定めましょう。 - 優しく、しかし確実に掴む
狙いを定めたら、軍手をはめた手で、カマキリの胴体を優しく、しかし逃げられないようにしっかりと掴みます。
このとき、焦るとカマキリが暴れる原因になります。 - 虫かごへ移す
捕まえたらすぐに用意した虫かごに入れ、蓋を閉めましょう。
捕獲のワンポイントアドバイス
- ネットを使う場合
ネットで捕まえた後も、ネットの上から胴体をつまんで持ち上げ、かごに移すようにしましょう。
ネットの中で暴れさせると、足を傷つけてしまうことがあります。 - 複数人で探す
友達や家族と協力して探すと、発見率が格段に上がります。
一人が草むらを軽く揺らし、飛び出してきた個体をもう一人が捕まえるという連携プレイも有効です。
捕まえる際の注意点|絶対にやってはいけないこと
オオカマキリを捕獲する際には、彼らの生命を尊重し、自分自身も安全を確保することが重要です。
- 鎌(前脚)を直接掴まない
鋭い棘は、人間の皮膚も簡単に傷つけます。
絶対に手で鎌を掴んだり、触れたりしないようにしましょう。 - 無理に追いかけない
逃げ惑うカマキリを追いかけると、壁や地面に激突させて傷つけてしまう可能性があります。
冷静に、見失っても諦める勇気を持ちましょう。 - 卵鞘(らんしょう)には触れない
晩秋になると、木の枝や壁に泡状の塊を産み付けることがあります。
これは「卵鞘」といい、カマキリの卵が入っています。
次の世代に命を繋ぐ大切なものですので、見つけても採取せず、そっと見守ってあげてください。
オオカマキリ捕獲後の飼育の楽しみ方
無事にオオカマキリを捕まえたら、ぜひ飼育にチャレンジしてみてください。
自然界ではなかなか見られない、生きた餌を捕食する迫力満点の瞬間を目の前で観察することができます。
飼育のポイント
- ケージ
湿気に弱いので、通気性の良い昆虫ケースを用意し、中に木の枝や草を入れて隠れ場所を作ってあげましょう。 - 餌
バッタ、コオロギ、ハエなどの生きた昆虫を与えます。
餌は毎日ではなく、数日に一度で十分です。 - 水分
霧吹きでケージの内壁に水を吹きかけ、カマキリが水滴を飲むことができるようにしてあげましょう。
オオカマキリは、その迫力ある姿とは裏腹に、正しくアプローチすれば比較的簡単に捕まえることができます。
今回ご紹介した方法と注意点を参考に、ぜひ皆さんもオオカマキリとの出会いを楽しんでみてください。
安全に捕獲して、その生態をじっくり観察してみるのも良い経験になるはずです。
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