【オオムラサキの捕まえ方ガイド】国蝶採集の可否と適切な観察・採集方法、絶対守るべきルール

オオムラサキ チョウ

日本の「国蝶」として知られるオオムラサキ。その勇壮な姿を手に取って見てみたい、あるいは標本にしたいと考える昆虫愛好家は少なくありません。

しかし、オオムラサキは多くの地域で準絶滅危惧種に指定されており、採集にあたっては特別な注意と配慮が必要です。

本記事では、オオムラサキを安全かつ合法的に捕獲・観察するための正しい方法、そして多くの人が見落としがちな採集禁止エリアのルールについて解説します。


採集は合法?国蝶オオムラサキを捕まえる前の重要確認事項

オオムラサキの採集は、法的にどう位置づけられているのでしょうか。
まず、採集を試みる前に、以下の2つの重要事項を必ず確認してください。

「国蝶」でも採集は原則禁止されていない(ただし例外あり)

結論から言うと、オオムラサキを国蝶に定めた法律や、国の天然記念物としての採集禁止規制はありません

  • 国蝶=採集禁止ではない
    オオムラサキは、あくまで国民的な愛好家によって選定された「国蝶」であり、これが直ちに法的な保護規制を意味するわけではありません。
  • 【最重要】地域の「条例」は要確認
    自治体や公園が独自に定めている条例や規則により、特定の場所(例:保護区、蝶の里公園、自然公園)での動植物の採集が厳しく禁止されている場合があります。
    採集前には、必ずその地域の自治体の公式情報を確認しましょう。

採集が推奨されない理由:絶滅の危機

オオムラサキの個体数は、生息地(里山の雑木林)の減少により、全国的に激減しています。

  • 環境省レッドリスト
    オオムラサキは、環境省のレッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に位置づけられています(2020年版)。
  • 倫理的な配慮
    絶滅の危機にある生物であるという事実を踏まえ、安易な採集は避け、観察に留める、または必要最小限の個体だけを採集する倫理的な配慮が求められます。

オオムラサキを捕まえるのに最適な時期・場所・時間帯

採集の準備が整ったら、最も効率よくオオムラサキに出会える条件を知りましょう。

最適な時期と時間帯

  • 時期
    6月下旬〜8月中旬(成虫の発生時期)。
    特に7月上旬〜中旬が最も活発です。
  • 時間帯
    オオムラサキは昼行性ですが、最も活動的になるのは午後です。
    14時〜16時頃に、オスが樹液場や水たまり周辺で縄張り飛翔を行うことが多く、狙い目です。

捕獲場所の選定:樹液が出ているクヌギ林

オオムラサキは花の蜜ではなく、樹液を餌とするため、彼らのエサ場を狙うのが最も効率的です。

  • 樹種
    クヌギコナラなどの広葉樹林。
  • 場所のサイン
    幹から樹液が染み出ている木は、カブトムシ、クワガタ、そしてオオムラサキが集まる最高の捕獲スポットとなります。

【実践編】オオムラサキの捕まえ方と道具

オオムラサキは大型で力強いため、捕獲には適切な道具と技術が必要です。

道具:「捕虫網」と「トラップ」の使い分け

捕獲方法特徴と使い方
捕虫網(ネット)飛んでいるオスを採るのに必須。
網は大型の蝶に対応できるよう網目の細かい大口径(直径40cm以上)で、柄が長いものが推奨されます。
オスが縄張り飛翔で近づいてきた瞬間を狙います。
樹液トラップ樹液に集まっている個体を採るのに有効。
樹液場で吸汁中の個体は、夢中になっているため比較的簡単に網や手で捕獲できます。
人工トラップ樹液が出ている木がない場合に設置。
発酵させたバナナや、焼酎・カルピスを混ぜた人工餌を木に塗りつけ、夜間に集まったところを翌朝回収します。

飛んでいるオオムラサキを捕まえるコツ

オオムラサキのオスは飛翔力が強いため、単に追いかけるだけでは困難です。

  1. 縄張りの上空で待つ
    縄張りを持つオスは、上空を巡回して同じ場所に戻ってくる傾向があります。
    彼らのルートを予測し、その下で静かに待ちましょう。
  2. 上から被せる
    飛んでいるオオムラサキに対しては、網を下からすくい上げるのではなく、上から被せるように動かすと、捕獲しやすくなります。
  3. 翅を傷つけない配慮
    網に入れたらすぐに網の奥に追い込み、翅の付け根(胴体)をそっと掴んで採り出し、翅を傷つけないように注意深く取り扱いましょう。

捕獲後の倫理:観察記録と適切なリリース・保全

捕獲した後の対応も、昆虫愛好家として非常に重要です。

  • 採集記録の徹底
    いつ、どこで、性別、天候、何匹採集したかを必ず記録に残しましょう。
  • 原則としてリリース
    絶滅の危機にあるため、標本としてどうしても必要な個体以外は、観察後は元の生息地へ速やかに戻しましょう。
  • 飼育は計画的に
    幼虫から飼育する場合は、食草であるエノキを確保するなど、最後まで責任を持って飼育できる環境を整えてからにしましょう。

まとめ:採集は「ルールと倫理」を持って

日本の国蝶オオムラサキの捕獲は、現行法で一律に禁止されてはいませんが、地域の条例の遵守絶滅危惧種に対する倫理的な配慮が不可欠です。

採集を試みる際は、ぜひこのガイドを参考に、彼らの環境を尊重し、未来の世代もその姿を見られるよう責任ある行動を心がけてください。

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