侵入アリ撃退!【アルゼンチンアリvsクロオオアリ】見分け方から生態系への影響、効果的な駆除・対策まで比較

クロオオアリ アリ

近年、家の周りでアリの行列を見かけて「これって何のアリ?」と不安になる方が増えています。そのアリが、在来種のクロオオアリなら心配いりませんが、もし特定外来生物に指定されているアルゼンチンアリだった場合、迅速な駆除対策が必要です。

本記事では、この在来種外来種の決定的な見分け方から、アルゼンチンアリの具体的な駆除方法までを解説します。


【一目でわかる】アルゼンチンアリ vs クロオオアリ:決定的な違い

私たちが日本で最もよく目にするクロオオアリと、侵略的なアルゼンチンアリは、生態や特徴が大きく異なります。

大きさの違い:体長を比較(日本最大級と極小サイズ)

体長を比較することが、二種を見分ける最も簡単な方法です。

アリの種類体長(働きアリ)見た目の色立ち位置
クロオオアリ8mm〜12mm(大型)艶のある黒在来種(飼育対象としても人気)
アルゼンチンアリ2.0mm〜3.0mm(極小)茶褐色〜黒褐色特定外来生物(駆除対象)

クロオオアリは日本最大級の体長を持つため、大型のアリを見ても過度に恐れる必要はありません。
問題となるアルゼンチンアリは、これとは対照的に非常に小さなサイズです。

見分け方:行列と活動の様子

個体の大きさ以外にも、二種の行動には顕著な違いがあります。

特徴クロオオアリアルゼンチンアリ
行列の規模小規模で断続的大規模で途切れず、高速で移動
女王アリの数1つの巣に通常1匹(一夫一妻)1つの巣に多数(多女王性)
刺激への反応刺激すると警戒する刺激しても逃げずにそのまま活動を続けることが多い

特に、道や壁を大規模な行列がまるで帯のように連なって移動しているのを見かけたら、それはアルゼンチンアリである可能性が非常に高いです。
これは彼らが「スーパーコロニー」と呼ばれる巨大な集団を形成するためです。

巣の構造の違い

アルゼンチンアリは、地中深くに巣を作る在来種とは異なり、石や枯れ葉の下、植木鉢の隙間など、浅い場所に一時的な巣を多数作ります。
このため、都市部のコンクリートの割れ目や家屋の隙間にも簡単に侵入してきます。


アルゼンチンアリの脅威:なぜ特定外来生物なのか?

アルゼンチンアリは、その強力な繁殖力と攻撃性から、環境省によって特定外来生物に指定されています。

生態系への影響:在来アリの駆逐

アルゼンチンアリの最も深刻な問題は、生態系への影響です。
彼らが侵入した地域では、競争力と攻撃性の高さから、クロオオアリやクロヤマアリなどの在来アリ駆逐してしまうことが確認されています。

この侵略性の高さから、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

家屋への侵入と日常生活への被害

アルゼンチンアリは、数が非常に多いため、時に数十万匹規模で家屋内に侵入します。

  • 異物混入: 食品への大量の混入被害
  • 電子機器への営巣: 電気製品の内部に巣を作り、故障の原因となる

【効果的な対策】アルゼンチンアリを駆除し、被害を防ぐ方法

アルゼンチンアリは繁殖力が非常に高いため、一時的な殺虫ではなく、巣ごと根絶を目指すことが重要です。

駆除方法の基本:ベイト剤(毒エサ)の使用

アルゼンチンアリの駆除に最も効果的なのは、ベイト剤(毒エサ)の使用です。

  1. 遅効性のベイト剤を選ぶ: アリが毒エサをすぐに食べても死なず、に持ち帰って女王アリや幼虫に分け与えることで、巣全体を壊滅させる効果が期待できます。
    多女王性のアルゼンチンアリには、特にこの「遅効性」が重要です。
  2. 多点設置: 大規模な行列や通り道沿いに、5~10m間隔で大量に設置します。

駆除のコツと注意点

  • 刺激を避ける
    ベイト剤行列の上に直接置いたり、アリを叩いたりして刺激すると、警戒して毒エサを食べなくなるため、静かに設置することが大切です。
  • 液剤の併用
    個体数が極めて多い場合や、初期の迅速な駆除が必要な場合は、ベイト剤と合わせて、忌避性の少ない液体殺虫剤を巣穴や通路に散布することもあります。
  • 環境整備
    餌となるアブラムシなどを駆除し、巣を作る場所(落ち葉や資材の放置など)をなくすことも、防除に役立ちます。

根絶が難しい場合は専門業者へ相談

アルゼンチンアリは一度定着すると根絶が非常に困難です。
広範囲にわたり大発生してしまった場合は、専門業者や地方自治体の環境保全担当部署に相談し、適切な防除マニュアルに基づく対策を実施してください。


在来種クロオオアリの重要性:共存の視点

クロオオアリは、人間の生活に大きな被害をもたらすことはなく、自然界で重要な役割を担う在来種です。

近年では、クロオオアリなどの在来アリが分泌するフェロモン成分が、アルゼンチンアリやヒアリといった外来種忌避させる効果を持つ可能性が研究で示されています。

アルゼンチンアリ駆除を進め、クロオオアリをはじめとする日本の在来アリが住みやすい環境を守ることが、生態系の健全な維持に繋がります。


まとめ:外来種を正しく知り、在来種を守ろう

アルゼンチンアリクロオオアリは、大きさ生態、そして私たちにもたらす影響が全く異なるアリです。

  • 黒く大きなクロオオアリ(在来種)は基本的に共存可能。
  • 小さく、大規模な行列を作るアルゼンチンアリ(特定外来生物)は迅速な駆除が必要。

もしご自宅や職場でアルゼンチンアリの可能性があるアリを見かけたら、上記の見分け方を参考に、まずは自治体や専門機関に連絡することをおすすめします。

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