クモの種類を徹底解説!生態と見分け方を知ってクモの世界を深掘り

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多様な進化を遂げた「八本足のハンター」

クモ(蜘蛛)は全世界で約5万種が確認されており、その進化の歴史の中で、獲物を捕らえるための驚くべき多様な戦略と形態を発達させてきました。
彼らは、網を張る者、地表を徘徊する者、水辺に潜む者など、それぞれ独自の生態的ニッチ(地位)を持っています。

本記事では、クモを捕獲戦略に基づいて大きく分類し、日本でよく見られる主要な種類の特徴や、知っておきたい注意点まで詳しく解説します。


クモの基本的な分類軸|捕獲戦略による二大グループ

クモの種は非常に多岐にわたりますが、生態学的観点から、その捕獲方法によって大きく二つのグループに分けることができます。

分類グループ特徴的な行動代表的な科
造網性クモ(Net-casting Spiders)糸で精巧な網(ウェブ)を作り、そこに獲物がかかるのを待つ「受動的捕食者」。コガネグモ科、アシナガグモ科、ヒメグモ科
徘徊性クモ(Wandering Spiders)網を張らず、歩き回って獲物を探し、追いかけるか待ち伏せして捕らえる「能動的捕食者」。ハエトリグモ科、アシダカグモ科、オオカニグモ科

造網性クモの種類|網の建築家たち

造網性クモは、その網の形や構造が非常に多様であり、それが種を見分ける重要な手がかりとなります。

縦糸と横糸が美しい「円網」を張るクモ

「クモの巣」と聞いて多くの人が想像するのが、この円形の網(オーブウェブ)です。

① コガネグモ科 (Araneidae)

  • 特徴
    垂直に近い精巧な円網を張る。網の中央に隠れ帯(目立つ白い装飾)を作る種もいる。
    大型で色彩が鮮やかな種が多い。
  • 代表種:ジョロウグモ
    • 生態
      黄色と黒の鮮やかな縞模様が特徴的な大型のクモ。
      特に秋に巨大な網を張り、交差点や軒先などで目立つ。
      メスは大きく、オスは極めて小さい。
  • 代表種:オニグモ
    • 生態
      日本の山野で最も一般的な円網クモの一つ。
      夜間に網を張り、昼間は隅に隠れていることが多い。
      腹部は丸くゴツゴツしている。

② アシナガグモ科 (Tetragnathidae)

  • 特徴
    非常に細長い体と脚を持ち、主に水辺や草むらに水平に近い網を張る。
  • 代表種:アシナガグモ
    • 生態
      細長く優雅な姿をしており、網の中央で脚を広げて静止していることが多い。

構造的な網を張るクモ

③ ヒメグモ科 (Theridiidae)

  • 特徴
    立体的な不規則な網(空間網)を張る。
    獲物が触れると崩れて下に落ちるような構造になっていることが多い。
  • 代表種:セアカゴケグモ(⚠️注意種)
    • 生態
      全世界で問題となっている特定外来生物。
      腹部の赤い斑紋が目立つ。
      日本では公園や側溝など、人工的な構造物の隙間に不規則な網を張る。毒性が強く、咬まれると重篤な症状を引き起こす可能性があるため、見つけたら触らずに自治体や専門機関に連絡が必要です。

徘徊性クモの種類|能動的なハンターたち

徘徊性クモは、網に頼らず俊敏な動きと優れた視力、または待ち伏せの技術を駆使して獲物を捕らえます。

家の守護者|アシダカグモ科 (Sparassidae)

  • 特徴
    非常に大型で長い脚を持つ。平らな場所に隠れ、夜間に活動して獲物を捕らえる。
  • 代表種:アシダカグモ
    • 生態
      「家グモ」として知られ、家屋内に侵入したゴキブリやハエなどを積極的に捕食する。
      毒性は人間に影響を与えるほど強くなく、極めて臆病で人を見ると逃げる。
      益虫として認識されている。

優れた視力を持つ:ハエトリグモ科 (Salticidae)

  • 特徴
    クモの中で最も優れた視力を持つ。
    体は小さく、特徴的な大きな二つの眼を持つ。網を張らず、獲物めがけてジャンプして捕らえる。
  • 代表種:アダンソンハエトリ、シマハエトリ
    • 生態
      日本の家屋内や植物上で最もよく見られるクモ。
      彼らの狩りの様子は非常に愛らしく、人気の高い種類。

地上や水辺の狩人:地表性クモ

① ドクグモ科 (Lycosidae)

  • 特徴
    地表を素早く走り回り、獲物を捕らえる。
    メスは卵のうを糸で腹部につけて持ち運び、孵化後も子供を背中に乗せて保護する習性を持つ。

② キノボリグモ科 (Thomisidae)

  • 特徴
    カニのように横歩きが得意で、カニグモとも呼ばれる。
    花の上などで擬態して待ち伏せ、訪れた昆虫(特にハナバチ類)を捕らえる。
    体色は周囲の環境に合わせて変化させられる種もいる。

知っておきたい注意種|日本におけるリスクと対策

日本に生息するクモのほとんどは無害ですが、外来種として定着した一部のクモは、人間にとって健康被害をもたらす可能性があります。

セアカゴケグモとハイイロゴケグモ

種名特徴リスク
セアカゴケグモメスの腹部に鮮やかな赤い砂時計型の斑紋。神経毒を持ち、咬まれると激しい痛みや発熱、リンパ節の腫れなどの中毒症状(ゴケグモ症)を引き起こす可能性がある。
ハイイロゴケグモセアカゴケグモに似るが、赤い斑紋がないか、不明瞭なことが多い。同様に神経毒を持ち、注意が必要。

【対策】

これらのクモは、日当たりが良く暖かい場所の、地面に近い隙間(植木鉢の裏、ベンチの裏、側溝の蓋など)に生息します。
素手で触らないことが最大の防御策です。
見つけた場合は、市販の殺虫剤を使用するか、靴で踏みつぶすなどして駆除し、自治体に報告しましょう。


まとめ|クモの種類を知ることは生態系を理解すること

クモの種類が持つ多様な形態と生態は、地球上の生命の進化の妙を示しています。
造網性クモは空間を、徘徊性クモは地表や植生を支配することで、それぞれが害虫の個体数調整という重要な役割を担っています。
クモの種類を知り、彼らの役割を理解することは、身近な自然環境の複雑さ、そしてその保全の重要性を再認識することにつながります。

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