地表の小さなハンター「コカマキリ」を知ろう
日本の野山や草地でよく見かけるカマキリ。その中でも一際小型で、枯れ葉のような茶褐色の体を持つのがコカマキリです。
大型のオオカマキリやハラビロカマキリに比べると目立たない存在かもしれませんが、その生態や特徴には興味深い点がたくさんあります。
この記事では、コカマキリの基本情報から、他のカマキリとの見分け方、さらにはユニークな習性まで解説します。
「コカマキリってどんなカマキリ?」「オオカマキリとの違いは?」といった疑問を持つ方は、ぜひ最後までご覧ください。
🔍 コカマキリの基本情報と特徴(学名:Statilia maculata)
コカマキリを特定するための重要なポイントをまとめます。
1. 大きさ・見た目
| 項目 | 特徴 |
| 体長 | 40~65mm程度(中型・小型)。 オオカマキリより小さい。 |
| 体色 | 茶褐色(黄土色〜黒褐色)が基本。 枯れ葉に擬態する色合い。 まれに緑色型も出現する。 |
| 特徴的な斑紋 | 前脚(カマ)の内側に、黒や濃い藍色に縁取られた白〜黒色の目立つ斑紋がある。 これが本種最大の識別点。 |
| 翅 | 翅の中央あたりに淡い褐色の斑紋を持つ。 |
特に、カマの内側の「目玉模様」は、他のカマキリにはないコカマキリだけのサインです。
2. 生態・生息地
- 出現時期
成虫は主に8月から11月の秋に見られます。 - 生息環境
林縁、草原、河原敷、畑地など幅広い環境に生息し、住宅地でも見かけられます。 - 主な行動
主に地上を徘徊する性質が強い(地上徘徊性)。
樹上高く登ることは少ない。この習性が、保護色である茶褐色の体色と関連しています。 - 食性
他の昆虫を捕食する肉食性。
小型のバッタやチョウなどを捕まえます。
🧐 他のカマキリとの見分け方(オオカマキリ・ハラビロカマキリとの比較)
コカマキリは小型ですが、他の主要なカマキリ種と混同しないための見分け方を解説します。
| 比較項目 | コカマキリ | オオカマキリ | ハラビロカマキリ |
| 体長 | 小〜中型 (40~65mm | 大型 (65~90mm以上) | 中型 (50~70mm) |
| 主な体色 | 茶褐色がほとんど(稀に緑色) | 緑色または褐色(大型で頑丈) | 緑色がほとんど(腹部が幅広い) |
| 前脚(カマ)の特徴 | 内側に白黒(目玉状)の斑紋がある。 | 特徴的な斑紋はない。 | 前脚基節(付け根)に小さな突起がある。 |
| 生息場所 | 地表を歩くことが多い。 | 草原、林縁(比較的高い場所) | 樹上性、公園など(前胸が短い) |
最も確実な見分け方は、繰り返しになりますが「前脚の鎌の内側の目玉模様」の有無です。
この模様があれば、それはコカマキリです。
💡 コカマキリのユニークな習性と豆知識
コカマキリには、その小さな体からは想像できない面白い習性があります。
- ⚠️ 危険が迫ると「死んだふり」
大型のカマキリは鎌を広げて威嚇することが多いですが、コカマキリは危険を感じると、素早く逃げるか、体を縮めて死んだふりをすることが知られています。
これは、地表を主戦場とする小型種ならではの生存戦略と考えられます。 - 産卵(卵鞘・らんしょう)
オオカマキリのような大きな卵のう(卵鞘)ではなく、比較的小さく細長い卵のうを産みます。
木の根元、草の茎、石の裏、コンクリートの壁など、目立たない場所に産み付けられるため、オオカマキリのものほど簡単には見つかりません。 - 不完全変態
カマキリの仲間は、卵→幼虫→成虫と成長する不完全変態の昆虫です。
蛹の期間はなく、幼虫は脱皮を繰り返して夏の終わりから秋にかけて成虫になります。
📝 まとめ
コカマキリは、その控えめな体色とサイズから見過ごされがちですが、日本の自然の中でたくましく生きる魅力的な昆虫です。
- 体長
40~65mm程度の中型・小型。 - 最大の特徴
前脚の内側にある白黒の「目玉模様」。 - 生態
主に秋に出現し、地表で獲物を待ち伏せるハンター。 - 習性
危険を感じると死んだふりをすることもある。
次回、草むらや公園でカマキリを見かけたら、是非そのカマの内側をそっと観察してみてはいかがでしょうか。
小さなハンター、コカマキリの存在に気づくことができると思います。


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