幻想的な光を放ち、私たちを魅了するホタル。
ひとくちにホタルと言っても、種類によって生息地や光り方が大きく異なるのをご存知でしょうか?
この記事では、日本で特によく知られているゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類を中心に、それぞれの違いや見分け方を徹底的に解説します。
夏の夜のホタル観賞がもっと楽しくなること間違いなしです!
日本のホタルは何種類?多くは「光らない」陸生ホタル
世界には2,000種以上、日本には約50種類のホタルが生息すると言われています。
私たちがイメージする「夜に光るホタル」は、実はそのごく一部です。
日本のホタルのほとんどは、幼虫時代を陸上で過ごす陸生ホタルで、成虫になるとほとんど光らない種も多くいます。
- 水生ホタル(幼虫が水中で過ごす)
- ゲンジボタル
- ヘイケボタル
- クメジマボタル(沖縄県久米島)
- 半水生ホタル
- スジグロボタル
- 陸生ホタル(幼虫が陸上で過ごす)
- ヒメボタル
- マドボタル類(クロマドボタルなど)
- オバボタル、ムネクリイロボタルなど(成虫はほとんど光らない)
この中でも、観賞の対象として最も有名な「御三家」とも言えるのが、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種です。
【決定版】ゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルの違い
この3種類のホタルは、「大きさ」「生息地(幼虫の食料)」「光り方」に明確な違いがあります。
ゲンジボタル | ヘイケボタル | ヒメボタル | |
大きさ | 大型(オス約1.5cm、メス約1.8cm) | 小型(オス約0.8cm、メス約1.0cm) | 極小(オス約0.6cm、メス約0.4cm) |
幼虫の 生息地 | 川(清涼な流水域) | 水田・池(止水域) | 森林・草地(陸上) |
幼虫の主な エサ | カワニナのみ | タニシ、モノアラガイなど広範囲の貝類 | カタツムリなどの陸生貝類 |
光り方 | 強く、ゆっくりと点滅(点滅周期が地域で異なる) | 弱く、細かく点滅 | 強く、一瞬のフラッシュ点滅 |
発光色 | 緑色 | 緑色 | 黄色 |
見られる時期 | 5月下旬〜7月上旬頃 | 6月〜8月頃 | 5月下旬〜6月下旬頃 |
成虫の翅 | オスメス共に飛べる | オスメス共に飛べる | メスは翅が退化し飛べない |
種類ごとの詳細
① ゲンジボタル(源氏蛍)
- 特徴
日本のホタルの代名詞。
発光間隔が西日本で約2秒、東日本で約4秒と地域によってリズムが異なります。
この光が夜空に一斉にシンクロするのが最大の魅力です。 - 見分け方(前胸部)
赤い部分の中央に、黒い十字形(T字形)の模様があります。
② ヘイケボタル(平家蛍)
- 特徴
ゲンジボタルより一回り小さく、光も控えめです。
幼虫は水田のような緩やかな環境にも適応しています。 - 見分け方(前胸部)
赤い部分の中央に、幅の広い黒い縦線(一文字)の模様があります。
③ ヒメボタル(姫蛍)
- 特徴
「星が降る」と表現されるほど、強く鋭い黄色い光をフラッシュのように一瞬だけ点滅させます。
幼虫・成虫ともに森や林などの陸上に生息する、珍しいホタルです。 - 見分け方
圧倒的な小ささと、黄色いフラッシュ発光ですぐに識別できます。
メスは飛べません。
ホタル観賞を楽しむためのポイント
ホタルはとてもデリケートな生き物です。
観賞する際は、以下のマナーを守って楽しみましょう。
- 光を当てない
ホタルの光の点滅は求愛のサインです。
強い光(懐中電灯、カメラのフラッシュ、スマートフォンの画面など)を当てると、交尾を妨害し、ホタルがいなくなってしまいます。 - 持ち帰らない
ホタルは地域の宝です。採取や持ち帰りは厳禁です。 - 静かに見守る
大声を出したり、ホタルが飛んでいる場所に立ち入ったりするのは避けましょう。
ホタルの出現時間は、日没から1~2時間後が最も活発です(20時〜21時頃)。
ヒメボタルは深夜帯に活動のピークを迎える地域もあります。
ぜひホタルの種類ごとの特徴を知って、神秘的な光の乱舞を楽しんでみてください。
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