「水中のハンター」として高い人気を誇るゲンゴロウ。飼育を検討している方や、すでに飼っている方にとって、彼らがどれくらい生きるのかという「寿命」は最も気になるポイントの一つでしょう。
本記事では、ゲンゴロウの平均寿命から、ライフサイクルごとの生存期間、そして1日でも長く元気に育てるための秘訣まで詳しく解説します。
1. ゲンゴロウの平均寿命:成虫は何年生きる?
一般的に、カブトムシやクワガタなどの甲虫は成虫になると数ヶ月で寿命を迎える種が多いですが、ゲンゴロウは意外にも長寿な昆虫です。
- 野生下での寿命: 約1年〜2年
- 飼育下での寿命: 約2年〜3年(最大で5年近く生きるケースも)
ゲンゴロウ(特にナミゲンゴロウ)は、適切な環境で飼育すれば、複数年にわたって冬を越し、共に過ごすことができます。
ただし、種類によって異なり、小型のハイイロゲンゴロウなどは1年程度の短い寿命である場合がほとんどです。
2. 卵から成虫まで:ライフサイクルごとの生存期間
ゲンゴロウの寿命を考える上で、その劇的なライフサイクル(一生)を知ることは欠かせません。
- 卵の期間: 約10日〜2週間
- 幼虫の期間: 約1ヶ月〜1.5ヶ月(この間に3回の脱皮を行い、急速に成長します)
- 蛹(さなぎ)の期間: 約2週間〜3週間
- 成虫の期間: 1年〜3年以上
幼虫時代は非常に短く、人生(虫生)の大部分を成虫として過ごします。
この「成虫期間」をいかに健やかに保つかが、飼育の醍醐味と言えます。
3. ゲンゴロウの寿命を縮める主な原因と注意点
「数年生きるはずが、すぐに死んでしまった」という場合、いくつかの共通した原因が考えられます。
- 水質の悪化
食べ残しによるアンモニア濃度の上昇は、ゲンゴロウにとって致命的です。 - 水カビ病
水が汚れると、甲羅や関節に白いカビが生える病気にかかりやすくなります。
これは寿命を縮める最大の要因です。 - 脱走による乾燥
ゲンゴロウは飛行能力が高いため、夜間に水槽から飛び出し、床で乾燥して死んでしまう(干物状態)事故が非常に多いです。 - 過度な加温
ヒーターで常に高い水温(25℃以上)に保つと、代謝が上がりすぎてしまい、寿命が短くなる傾向があります。
4. 1日でも長く!長生きさせるための飼育のコツ
ゲンゴロウに天寿を全うしてもらうためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 四季を感じさせる(低温管理)
冬場はあえてヒーターを入れず、水温を5〜10℃程度に下げて「休眠状態」にさせることで、体力の消耗を抑え、寿命を延ばすことができます。 - 日光浴の環境を作る
甲羅を乾かす「日光浴」は、殺菌効果があり、水カビ病の予防に繋がります。
水面に浮かぶ流木や、甲羅干しができる陸場を必ず設置してください。 - 餌のバリエーションと鮮度
煮干しだけでなく、時々生の刺身(小片)や昆虫を与えるなど、栄養バランスを考えましょう。
ただし、食べ残しは30分以内に取り除くのが鉄則です。
まとめ:ゲンゴロウは数年寄り添えるパートナー
ゲンゴロウの寿命は、昆虫の中では比較的長い2〜3年です。
その長い寿命を支えるのは、飼い主による徹底した「水質管理」と「脱走防止」に他なりません。
日本の里山から姿を消しつつある貴重なゲンゴロウ。
正しい知識を持って飼育することで、彼らの力強い生命力を長期間にわたって間近で観察することができるでしょう。


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