鮮やかなオレンジ色と黒のコントラストが美しいベニシジミは、身近な環境で最も普通に見られるチョウの一つです。
比較的おとなしく、低空飛行を好むため、昆虫採集初心者にも捕まえやすい種類として知られています。
この記事では、ベニシジミを捕まえるのに最適な場所や時期から、チョウの動きに合わせた網の使い方の基本、そして採集後の取り扱いまでを解説します。
📍 採集の基本「いつ」「どこ」でベニシジミを探すか
捕獲率を高めるためには、ベニシジミが活発に活動する時間と場所を知ることが重要です。
1. ベニシジミが活発な時期と時間帯
- 時期
ベニシジミは、3月頃の早春から11月頃の晩秋まで、非常に長い期間にわたって見られます(多化性)。
特に、暖かくなり花が多く咲き始める春から初夏、そして秋口に多くの個体が観察できます。 - 時間帯
チョウは一般的に、日差しが強く、気温が上がる午前中から午後にかけて活発に飛び回ります。
朝早くや夕方は活動量が減るため、この時間帯を狙いましょう。
2. ベニシジミの採集スポット
ベニシジミは、幼虫の食草であるスイバやギシギシが生えている、明るく開けた草地環境を好みます。
- 主な場所
川の土手、野原、畑のあぜ道、公園の芝生地や草地、空き地。 - 狙い目
成虫は吸蜜のために各種の花に集まるため、シロツメクサ、ヒメジョオン、タンポポなどが咲いている花畑や草むらを注意深く観察しましょう。
🕸️ 網を使った捕まえ方:成功率を高める2つの基本技
ベニシジミは低く飛び、草の上や地上に止まる習性があるため、捕虫網(ネット)を使うのが最も確実です。
1. 基本の「かぶせ技」(止まっているチョウを狙う)
花や葉、地面などで休んでいるベニシジミを捕まえるための最も基本的な方法です。
- 忍び寄る
チョウを驚かせないよう、そっと、ゆっくりと網が届く距離まで近づきます。 - 素早くかぶせる
網の開口部を下にし、チョウの上から一気に素早く網をかぶせます。
失敗を恐れずに思い切り振り下ろすのがコツです。 - 網を絞る
チョウが網に入ったら、網のふち(フレーム)に沿って網を反転させたり、網の底を持ち上げたりして、チョウを奥底に追い込み、逃げ口を閉じます。
2. 基本の「スイング」(飛んでいるチョウを狙う)
低く活発に飛んでいるベニシジミを捕まえるテクニックです。
- 軌道を読む
ベニシジミは小刻みにジグザグと飛びますが、あまり高くは上がりません。
その飛行方向や高さを予測します。 - 横に振る
チョウの進行方向、または真後ろから網を横に払うようにスイングします。
チョウを網の奥深くに誘導するように振るのがポイントです。 - 素早く反転
チョウが網の中に入ったことを確認したら、すぐに網のフレームを利用して網の口を反転させ、チョウを閉じ込めます。
✨ 捕獲後の取り扱いと注意点
チョウの美しさを保ち、次の観察や飼育に繋げるためには、捕まえた後の取り扱いが重要です。
1. チョウの保護と移動
- 翅(はね)を傷つけない
網の外からチョウの翅を軽く閉じ、胴体(胸の部分)を優しくつまみます。
これにより、チョウが暴れて翅の鱗粉(りんぷん)が落ちたり、翅が傷ついたりするのを防げます。 - 虫かごへの移動
虫かごの口を地面と水平(横向き)にしてからチョウを移すと、チョウが上へ上へと逃げようとする習性を利用できるため、逃がしにくくなります。
2. 寄生や病気への注意(飼育目的の場合)
飼育目的で幼虫や成虫を採集する場合、既に寄生されている可能性があります。
- 幼虫の注意
幼虫を採集する場合は、できるだけ小さなものや卵から育てると、寄生リスクを減らせます。 - 成虫の注意
野外で捕まえた成虫を飼育ケースに入れる場合は、寄生蜂などの侵入を防ぐため、網目が細かいネットなどでケースを覆うのが安心です。
まとめ:ベニシジミ採集成功の鍵
ベニシジミは初心者にとって非常に良い練習相手となるチョウです。
- 最適な時期と場所
春から秋にかけての日中の明るい草地。 - 捕獲のコツ
止まっている場合は「かぶせ技」、飛んでいる場合はチョウの軌道を読んで「スイング」。 - 採集後の配慮
翅を傷つけないよう優しく取り扱い、観察・飼育後は自然に帰すことも視野に入れましょう。
美しいベニシジミとの出会いを求めて、お近くの草地へ出かけてみませんか?


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