ベニカミキリ(紅天牛)は、その名の通り鮮やかな紅色(あかいろ)の羽根を持つ、比較的小型のカミキリムシです。
竹林の周辺で見られることが多く、「竹の害虫」として知られる一方で、その美しい姿から愛好家も多い昆虫です。
この記事では、ベニカミキリの特徴、生態、そして見つけ方のコツを詳しく解説します。
ベニカミキリとは?基本情報と際立つ特徴
ベニカミキリは、コウチュウ目カミキリムシ科に属する昆虫です。
全身が黒い体色の中に、前翅(ぜんし、羽根)だけが光沢のある紅色をしているのが最大の特徴です。
このコントラストが非常に目立ち、遠くを飛んでいてもその存在に気づきやすいでしょう。
1. サイズと外見
- 体長: 約13mm~17mm程度の小型~中型。
- 体色: 頭部や胸、脚、触角は黒色。前翅は落ち着いた鮮やかな紅色。
- 触角: 他のカミキリムシ同様に非常に長い触角を持ちます。
2. 活動時期と場所
- 活動時期: 主に5月~6月下旬ごろ。特に5月下旬の天気の良い日に多く見られます。
- 生息環境: 竹林やその周辺の環境で多く確認されます。
💡 豆知識
同じく赤いカミキリに「ホシベニカミキリ」がいますが、こちらは羽根に黒い斑点(ほし)があるのが特徴で、食草(幼虫の食べる植物)もクスノキ科の樹木でベニカミキリとは異なります。
幼虫と成虫の生態:竹と花の密接な関係
ベニカミキリは、幼虫時代と成虫時代で食べるものが大きく異なります。
この生態が、彼らが竹林の周辺で生活する理由でもあります。
1. 幼虫の食性と「竹の害虫」としての側面
ベニカミキリの幼虫は、枯れた竹(モウソウチク、マダケなど)の材を食べます。
- 成虫は衰弱した竹や、伐採されて放置された竹材に産卵します。
- 孵化した幼虫は竹の内部で材を食べて成長し、2~3年かけて成虫になります。
- この竹を食い荒らす習性から、竹を利用する人間にとっては「竹の害虫」として扱われることがあります。
⚠️ 注意点
ベニカミキリの幼虫は、竹林を放置したことで増えた古い竹を好みます。
手入れされた竹林ではあまり問題になりません。
2. 成虫の食性:好むのは「白い花」
竹の中で羽化した成虫は、花粉や蜜を後食(こうしょく、羽化後に栄養をとること)します。
特に、春から初夏にかけて咲く白色の花を好み、以下のような植物の花でよく見つかります。
- クリ(栗)の花
- ガマズミ
- ミカン科の仲間
- ハゼノキ(リュウキュウハゼ)
クリの花が咲く季節には、竹林に近いクリの木を探すと高確率で出会えるでしょう。
ベニカミキリの見つけ方と観察のコツ
「あの鮮やかな赤いカミキリを見てみたい!」という方のために、観察に適した場所と時間帯のコツをご紹介します。
1. 観察に適した時期・時間帯
- 時期: 5月下旬が最も活発で観察しやすいです。
- 時間帯: 晴れた日の日中。成虫は日中によく飛び回り、花の蜜や花粉を求めて活動します。
2. ベニカミキリを探す場所
最も重要なのは、竹林または竹林の近くを探すことです。
| 探す場所 | 見るべきポイント |
| 竹林の外周や縁 | 産卵のために竹の樹間を飛翔する個体が見られます。 |
| 竹林周辺の白い花 | クリ、ガマズミなどの花に止まって食事をしていることが多いです。 |
| 放置された竹材 | 産卵痕や、羽化のために開けられた穴がないか確認してみましょう。 |
3. 捕獲・観察時の注意点
ベニカミキリは生命力が強く、捕まえようとすると「ジィー!」と怒ったように鳴き、顎(あご)で噛みついてくることがあります。
- 刺激しないよう、そっと観察しましょう。
- もし手に取る場合は、指を噛まれないように注意し、観察後は元の場所に戻してあげてください。
📸 写真撮影のコツ
ベニカミキリは花の上でじっとしていることが多いため、近づいての接写(せっしゃ)も比較的容易です。
その鮮やかな赤色をぜひカメラに収めてみてください。
まとめ:竹林に輝く赤い宝石
ベニカミキリは、黒と赤の対比が美しい、魅力的なカミキリムシです。
幼虫は竹を利用し、成虫は花を訪れるという興味深い生態を持っています。
✅ ベニカミキリを探すキーワード
- 時期: 5月~6月
- 場所: 竹林とその周辺
- 目印: クリやガマズミなどの白い花
春から初夏にかけて、竹林の近くを訪れた際は、ぜひこの「竹林の宝石」を探してみてください。
その鮮やかな姿はきっと印象に残るでしょう。


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