都市部の街路樹や公園で、鮮やかな青い筋を持つアオスジアゲハを見かけると、「この美しいチョウを自宅で育ててみたい」と思う方も多いかと思います。
アオスジアゲハは、ナミアゲハなどと並び、比較的飼育しやすいアゲハチョウの一つです。
特に、幼虫の食草が手に入りやすいため、初心者の方の自由研究や観察にも最適です。
本記事では、「アオスジアゲハ 飼育」に関する疑問をすべて解決できるよう、幼虫の採集方法から、食草の準備、スムーズな蛹化、そして羽化に至るまでの具体的な手順とコツを解説します。
アオスジアゲハ飼育の準備:食草の確保が最重要
アオスジアゲハの幼虫を飼育する上で、最も重要なのが食草(餌)の確保です。
食草なしに飼育はできません。
幼虫の食草は「クスノキ科」の常緑樹
アオスジアゲハの幼虫が食べるのは、クスノキ科の植物の葉のみです。
特に以下の3種は、幼虫が見つかりやすく、餌として利用しやすい代表的な食草です。
| 食草名 | 特徴と確保のヒント |
| クスノキ(楠) | 街路樹や公園、神社仏閣に多い。最も一般的な食草。 |
| タブノキ(タブ) | 公園や海岸近くの林に多い。 |
| シロダモ | 雑木林などに生える。葉が柔らかく若齢幼虫向き。 |
💡 食草確保のコツ
自宅で飼育するなら、クスノキやタブノキの鉢植えを用意するのが最も確実です。
切り枝で与える場合は、葉が乾燥しやすい(水が下がりやすい)ため、毎日新鮮なものに交換する手間が必要です。
飼育容器の準備
- 幼虫の数に合わせた容器
大きめのプラスチックケースや虫かごを用意します。
終齢幼虫は体長が4cm〜5cmほどになります。 - 通気性の確保
容器のフタや側面に通気孔があるか確認します。
密閉すると湿気がこもり、病気の原因になります。 - ティッシュの使用
容器の底にキッチンペーパーやティッシュを敷くと、フン(糞)の掃除がしやすくなります。
アオスジアゲハの幼虫採集と注意点
幼虫は、食草であるクスノキやタブノキの葉の裏や枝に付いています。
幼虫が見つかりやすい場所と時期
- 場所
クスノキの低い枝や、日当たりの良い場所の新芽付近。
終齢幼虫は葉の上でじっとしていることが多いです。 - 時期
アオスジアゲハは年に複数回発生するため、5月〜10月の間に幼虫を見つけることができます。
採集時の注意点
- 触り方
幼虫を傷つけないよう、必ず幼虫の下の葉や枝ごと切り取って持ち帰りましょう。 - 食草の持ち帰り
幼虫が食べていた元の食草(若葉)も一緒に持ち帰り、すぐに飼育容器に入れ替えてください。
環境の変化で食欲を失うことがあるため、できるだけスムーズに入れ替えます。
飼育の具体的な手順と管理のコツ
餌の与え方
- 餌の交換
切り枝の場合は、水が下がって葉がしおれる前に、毎日新しい新鮮な枝葉に交換します。 - 清潔さ
幼虫はフンをたくさんします。
フンが葉や体に付着していると、カビや病気の原因になるため、最低でも1日1回はフンを掃除し、容器を清潔に保ってください。 - 若齢幼虫
孵化直後の小さな幼虫には、特に柔らかい新芽を与えましょう。
硬い葉は食べないことがあります。
蛹化(さなぎになる)の準備
幼虫が成熟して食べるのをやめ、体が緑色からくすんだ色(やや黄色や茶色がかった色)に変化したら、蛹になる準備を始めたサイン(前蛹)です。
- 容器内の環境
容器の側壁やフタ裏、または割り箸や小枝などを立てかけ、蛹になるための足場を用意してあげます。 - 触らない
前蛹の状態(体が固定された状態)になったら、絶対に動かしたり触ったりしないでください。
無理に動かすと、正常な蛹化ができなくなる可能性があります。 - 蛹化
糸で体を固定(帯糸と足場)した後、数日かけて脱皮し、アオスジアゲハ特有の緑色の美しい蛹になります。
越冬と羽化
アオスジアゲハの蛹は、秋に蛹になった場合、そのまま蛹の状態で越冬します。
- 越冬管理
冬の間は、屋外の軒下など雨が直接当たらない、涼しい場所に置きます。
暖房の効いた室内に入れると、羽化のサイクルが狂い、異常な時期に羽化しようとして失敗する(死んでしまう)可能性が高まります。 - 羽化のサイン
春になり気温が上がると、羽化直前の蛹の色が濃く変化し、翅の模様が透けて見えるようになります。 - 羽化時
羽化直後、チョウは翅を伸ばすためにぶら下がる場所が必要です。
容器内で蛹が落ちてしまわないか確認しましょう。
飼育で失敗しないための重要チェックリスト
| 項目 | 対策と注意点 |
| 食草の乾燥 | 最重要!しおれた葉は食べない。 切り枝は毎日交換するか、水差しで管理。 |
| 高温多湿 | 容器の風通しを良くする。 直射日光の当たる場所は避ける。 |
| 農薬の有無 | 採取した葉に農薬(殺虫剤)が残っていないか注意。 無農薬の場所から採集する。 |
| 病気・カビ | フンは必ず毎日取り除く。 容器は定期的にアルコールなどで拭き、清潔に保つ。 |
| 蛹の移動 | 蛹化中・前蛹中は絶対に移動させない。 正常な羽化ができなくなる。 |
まとめ:命のサイクルを観察しよう
アオスジアゲハの飼育は、適切な食草と清潔な環境さえ整えれば、決して難しいものではありません。
小さな卵から、見事な緑色の幼虫、そして美しい青い筋を持つ成虫へと変化する命のサイクルを観察できる貴重な体験です。
このガイドを参考に、ぜひアオスジアゲハの飼育にチャレンジし、身近な自然の驚きを体感してみてはいかがでしょうか?


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