【水辺のハンター】チョウトンボの食物連鎖|ヤゴと成虫の食性と天敵を解説

チョウトンボ トンボ

夏の水辺でひときわ優雅に舞う「空飛ぶ宝石」、チョウトンボ
その美しい姿の裏側には、自然界の厳しい食物連鎖が存在します。

チョウトンボは、水中のヤゴ(幼虫)の時代と、空を飛ぶ成虫の時代で、異なる役割を担うハンターです。

本記事では、チョウトンボの一生を通して、何を捕食し、何に捕食されるのか、食物連鎖におけるその位置を徹底解説します。

食物連鎖の下層:ヤゴ(幼虫)は水中の肉食ハンター

チョウトンボの幼虫であるヤゴは、水中で約1年間を過ごす肉食性のハンターです。

ヤゴの「食べる」もの:水中の小動物

チョウトンボのヤゴは、水中で動くものを獲物と認識し、独特の折りたたみ式の下唇(かしん)を一瞬で伸ばして獲物を捕らえます。

獲物の種類
水生昆虫の幼虫アカムシ(ユスリカの幼虫)、イトミミズ、ボウフラ(蚊の幼虫)など
小型の節足動物ミジンコ、ミズムシ、ヌマエビなど
小型の脊椎動物オタマジャクシ、メダカなどの小魚

ヤゴは非常に食欲旺盛で、水中の生態系において小型動物の捕食者として重要な位置を占めています。

ヤゴの「食べられる」もの:水辺の天敵

水中で生活するヤゴにも天敵は多く、食物連鎖のピラミッドでは、小魚やカエル、鳥類の下に位置します。

  • 魚類
    大型・中型の魚(コイ、フナ、ナマズなど)
  • 両生類
    カエル、イモリなど
  • 水生昆虫
    大型ゲンゴロウの幼虫、タガメなどの水生肉食昆虫
  • 共食い
    餌が不足すると、ヤゴ同士で共食いをすることもあります。

チョウトンボのヤゴは泥に潜って生活することもあり、この習性が捕食から身を守る一つの方法となっています。


食物連鎖の上層:成虫は空中を支配する捕食者

羽化して空を飛ぶようになったチョウトンボは、水中のヤゴ時代とは異なり、空中における捕食者へと変わります。

成虫の「食べる」もの:飛翔する昆虫

チョウトンボの成虫は、高度な飛翔能力と広い視野を持つ複眼を活かして、空中で獲物を捕獲します。

  • 小型昆虫
    ハエ、蚊(アブ)、カ(ボウフラから羽化)、ハチなど
  • その他の飛翔昆虫
    小型〜中型のガ、チョウなど

チョウトンボは、飛びながら獲物を捕らえてその場で食べ続けることが多く、夏の水辺における害虫駆除の一端を担っているとも言えます。

成虫の「食べられる」もの:空と陸の天敵

空のハンターであるチョウトンボも、食物連鎖の頂点ではありません。
その美しい姿は、より上位の捕食者にとって魅力的な獲物です。

  • 鳥類
    小型の猛禽類(チゴハヤブサなど)、ツバメなどの野鳥
  • クモ
    特に大型のクモの巣にかかってしまうと逃げられません。
  • 肉食性昆虫
    大型のアブ(ムシヒキアブなど)、カマキリ

まとめ|水辺の生態系におけるチョウトンボの役割

チョウトンボは、ヤゴと成虫の期間を通じて、水辺の生態系における食物連鎖の重要な「つなぎ役」を果たしています。

段階食物連鎖における役割
ヤゴ(幼虫)水中の小動物を捕食し、魚やカエルに捕食される二次消費者
水中の環境維持に貢献。
成虫飛翔する小型昆虫を捕食し、鳥類などに捕食される三次消費者
空中の生態系に貢献。

この優雅な「空飛ぶ宝石」の存在は、その生息地である池沼が健全な状態に保たれていることの証です。
チョウトンボを観察する際は、その命が多くの生き物によって支えられ、また他の生き物を支えているという、自然の壮大な連鎖にも思いを馳せてみてください。

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