秋の夜に聞こえる美しい鳴き声「チン、チン…」の主、カネタタキ。
その姿は小さく、巧妙に葉の陰に隠れているため、「鳴き声はよく聞くけれど、姿は見たことがない」という方がほとんどではないでしょうか。
本記事では、この隠れんぼ上手なカネタタキを飼育するために、どこにいるのか、そしてどうすれば捕まえられるのか、都市部の生息地から効率的な捕獲方法まで解説します。
カネタタキを探す:生息地と活動時間の秘密
カネタタキは非常に身近な場所に生息しているにもかかわらず、その行動パターンゆえに見つけにくい昆虫です。
ターゲットは「樹上」!都市部の生息地
カネタタキはコオロギの仲間ですが、地上ではなく樹の上で生活する「樹上性」です。
- 主な生息場所
公園や庭木、生垣などの低木。特に葉が茂って陰になっている場所を好みます。 - 都市部での発見例
街路樹、大都市の中心駅周辺の植栽など、実は身近な植え込みに多く生息しています。
深い森林や山地にはあまり棲んでいません。
探すなら「夜」または「秋の昼間」
カネタタキは夜行性ですが、気温が下がる秋以降は昼夜を問わず鳴くようになります。
| 時期 | おすすめの探し方 | ポイント |
| 夏の終わり〜秋の初め | 夜間 | 活発に鳴く時間帯です。 懐中電灯を持って鳴き声の方向に近づきましょう。 |
| 晩秋(気温が低い時期) | 昼間 | 昼夜問わず鳴くようになります。 日当たりの良い生垣などで鳴いていることがあります。 |
カネタタキを捕まえる!効率的な3つの採集方法
カネタタキは非常に俊敏で、触れようとするとすぐに葉の裏などへ逃げ込みます。
直接手で掴むのは難しいため、以下の方法を試しましょう。
ビーティング法(叩き落とし)
これがカネタタキを捕まえる上で最も効率的で確実な方法の一つです。
- 道具の準備
傘(明るい色が推奨)と、木の枝を叩くための棒(または丈夫な枝)を用意します。 - 実行
カネタタキの鳴き声がする木の枝の真下に傘を逆さまに開いて構えます。 - 捕獲
もう一方の棒で、傘の上の枝を勢いよく叩きます。
カネタタキが驚いて傘の中に落ちてくるのを待ちます。 - 捕獲
落ちてきたカネタタキは、すぐにコップやタッパーなどでそっと覆い、逃げられないように捕獲しましょう。
体が小さいので、手で掴むのは非常に困難です。
スウィーピング法(捕虫網で掬う)
草むらや低木の枝が密生している場所で有効です。
- 道具の準備
口径の大きい捕虫網を用意します。 - 実行
網を横にして、鳴き声がする草叢や木の枝のあたりを、下から上へ大きく掬い上げるように振ります。 - 捕獲
網の中にカネタタキが入っていたら、すぐに飼育ケースや捕獲用の容器に移します。
灯火巡り(夜間)
夜行性のカネタタキは、樹上を徘徊する際に街灯や自動販売機などの人工の光に集まってくることがあります。
- ポイント
公園や住宅地にある街灯の柱や、光の周りの地面を注意深く探してみましょう。
飛べない個体もいますが、壁を登っているところを見つけられる可能性があります。 - メリット
ビーティングのように場所を特定する必要がなく、広範囲を効率よく探せます。
捕獲後の注意点と安全な持ち帰り方
カネタタキは非常に体が小さく、わずかな隙間からも脱走します。
捕獲後の扱いには細心の注意を払いましょう。
持ち運び用の容器
- 推奨
フタがしっかりと閉まるプリンカップや小型のタッパーなど。
通気口がある場合は、目の細かい布やネットを挟んで塞ぎ、脱走を防いでください。 - NG
隙間ができやすい通常の飼育ケースのフタ、網目が粗い袋や容器。
触る際の注意
- 直接触れない
カネタタキはとても小さく壊れやすいため、素手で触るのは避けましょう。
捕獲したコップなどから飼育ケースに移す際も、ピンセットや厚紙を使ってそっと移動させます。
まとめ:鳴き声の方向を頼りに「隠れんぼの達人」を見つけよう
カネタタキは「鳴き声はよく聞くけれど姿は見えない」という、まさに隠れんぼの達人です。
その小さな体を捕まえるためには、まず低木や生垣という生息地を特定し、鳴き声の方向を頼りに近づくことが重要です。
特にビーティング法は、姿を見つけにくいカネタタキの捕獲に非常に有効です。
ぜひ本記事を参考に、秋の風情を運ぶカネタタキの捕獲に挑戦し、自宅でその美しい音色を楽しんでみてください。


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