🐞 ホシベニカミキリとは?目を引く鮮烈な色彩の正体
ホシベニカミキリ(星紅髪切)は、その名の通り、鮮やかな赤色の体(上翅)に不規則な黒い斑点(星)を持つ、非常に目立つカミキリムシの一種です。
この美しい色彩は、昆虫好きならずとも目を奪われる魅力があります。
一般的にカミキリムシは地味な色合いのものも多い中で、ホシベニカミキリの朱赤(濃い赤)と黒のコントラストは、自然界の芸術品とも呼ばれます。
触角と脚は黒色で、体長は18mmから25mm程度と比較的大型です。
- 名前の由来
赤い体(紅)に黒い斑点(星)があるカミキリムシであることから名付けられました。 - 分類
コウチュウ目カミキリムシ科フトカミキリ亜科に属します。
📍 生息地と活動時期:どこで会える?
ホシベニカミキリは暖地性のカミキリムシで、主に本州(関東以西の太平洋側、石川県以西の日本海側)、四国、九州、南西諸島などの比較的暖かい地域に分布しています。
- 生息環境
海岸近くのタブノキが生えている場所、照葉樹林、公園、街路樹などで見られます。
食樹であるタブノキやクスノキの近くを探すのがポイントです。 - 成虫の活動時期
5月頃から8月頃にかけて発生し、活動が活発になるのは初夏の6月〜7月です。
新緑の季節、クスノキ科の樹木、特にタブノキの葉や枝を注意深く観察すると、美しいホシベニカミキリに出会えるかもしれません。
🌳 ホシベニカミキリの生態:害虫としての側面も
ホシベニカミキリは、その美しさとは裏腹に、特にタブノキにとっては重要な害虫として知られています。成虫と幼虫の食性が樹木に大きな影響を与えます。
成虫の食性・行動
成虫は、タブノキやクスノキなどのクスノキ科植物の新芽や若い枝の樹皮を食べて(後食)生活します。
- 加害の痕跡
成虫に食害されたタブノキの葉や若枝は、かじられて穴があいたり、軸が折れて黒く垂れ下がったりすることがあり、これが成虫発生の目印となります。
幼虫の食性・生活環
メスは、タブノキの生きた枝や幹の樹皮に特徴的な楕円形の傷(産卵痕)をつけて産卵します。
- 食樹
主にタブノキのほか、クスノキ、ヤブニッケイなどクスノキ科の生木(材)を食べます。 - 生活環
孵化した幼虫は木の中に潜り込み、材を食べながら成長します。
一般的に2年で1世代を過ごすと言われています。
幼虫が材の中に穿孔することで、木の中に空洞ができ、樹勢の衰退や、強風による枝の折損被害を引き起こすことがあります。 - 越冬
幼虫で材内で越冬することが多いですが、秋に羽化した新成虫が材内で越冬するケースもあります。
🧐 ホシベニカミキリを見つけるヒントと注意点
ホシベニカミキリを探す際には、その食樹であるタブノキに注目することが最も効率的です。
- タブノキを探す
海岸防災林や公園、神社などにあるタブノキを探します。 - 食害痕をチェック
5月〜7月にかけて、タブノキの新芽や若い枝にかじられた跡(穴や折れ曲がった枝)がないか探します。 - 脱出口とヤニの確認
幹や太い枝に丸い穴(脱出口)や、そこから樹液(ヤニ)が出ている箇所がないか確認します。
これは幼虫が内部にいる、または成虫が羽化した痕跡です。
ホシベニカミキリは捕まえると、他のカミキリムシと同様に「キイキイ」という威嚇音(発音)を出すことがあります。
優しく観察し、自然の中での役割を理解することが大切です。
🚨 樹木管理者への注意点
ホシベニカミキリは樹勢を衰えさせ、樹木の折損リスクを高めるため、街路樹や公園のタブノキ管理において対策が必要な場合があります。
- 防除適期
成虫が発生し、産卵を行う5月中旬〜7月上旬が薬剤散布などの防除に適した時期とされています。 - 継続的な防除
2年1世代であるため、被害を抑えるには数年間の継続的な防除が必要になることがあります。
その美しい姿から愛好家も多いホシベニカミキリですが、樹木にとっては深刻な影響を与える場合もあることを覚えておきましょう。


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