🍂 ミヤマアカネの魅力と見分け方|日本一美しいとされるアカトンボの秘密

ミヤマアカネ トンボ

ミヤマアカネは、アカトンボの仲間でも特に美しいとされるトンボです。
成熟したオスが見せる鮮やかな全身の赤色と、翅(はね)の真ん中にある褐色の帯(帯状の斑紋)が最大の特徴です。
この翅の帯を持つアカトンボは世界でもミヤマアカネだけといわれ、他の種との見分けが容易です。

この記事では、ミヤマアカネの詳しい特徴、生態、そしてどこで見られるのかを解説します。
この美しいトンボに出会うためのヒントをお伝えします。


🔎 ミヤマアカネの特徴と近似種との見分け方

ミヤマアカネを他のアカトンボと区別する際のポイントを見ていきましょう。

1. 翅(はね)の帯状の斑紋

ミヤマアカネ最大のアイデンティティです。
翅の中央より先端寄りに、太い褐色の帯状の模様があります。
この帯は、未熟な個体(黄色い時期)にも成熟した個体(赤い時期)にも見られ、雌雄の区別なく確認できます。

2. 成熟したオスの体色

成熟したオスは、頭部から腹部まで全身が真っ赤に染まります。
特に翅の縁紋(えんもん:翅の先端近くにある四角い斑紋)も赤くなるのが特徴です。
メスは赤くならず、成熟しても赤みがかった褐色または橙色をしています。

3. 大きさと出現時期

項目特徴
体長約 $30\text{mm} \sim 40\text{mm}$ 程度の中型のアカトンボ
成虫の出現期7月上旬頃から11月頃まで(地域により異なる)
活動期幼虫で越冬し、夏から秋にかけて成虫が見られます。
秋の深まりと共にオスが特に赤くなり、水辺で見られるようになります。

💡 近似種との違い

トンボの種類翅の模様主な生息環境
ミヤマアカネ褐色帯状の斑紋がある緩やかな流れのある小川、水路、水田の周辺(流水性)
アキアカネ翅に目立つ斑紋はない池沼、水田(止水性)
ノシメトンボ翅の先端部が黒褐色になる(ノシミ:のしをつけたような、の意味)池沼、湿地(止水性)

🏞️ ミヤマアカネの生態と生息環境

ミヤマアカネの興味深い生態について掘り下げます。

独特な生息環境:流水を好むアカトンボ

多くのアカトンボの仲間が池や沼などの止水域を主な生息地とするのに対し、ミヤマアカネは例外的に流水環境を好みます。

  • 生息地
    平地から低山地にかけての、緩やかな流れがある小川用水路水田の脇を流れる細流、河川のワンド(流れが淀んだ場所)などに密接しています。
    「深山(みやま)」という和名を持ちますが、必ずしも深い山地に限定されるわけではなく、里山の小さな流れでも見られます。

産卵(繁殖)生態

成熟したオスとメスは連結したまま、水辺の岸近くにある浅い水面や泥、水際に生えた植物の根元などに腹部の先を打ち付けて打水産卵を行います。
産み落とされた卵はそのまま越冬し、翌春に孵化します。

食性

幼虫(ヤゴ)は水中のユスリカの幼虫イトミミズなどの小動物を捕食します。
成虫はハエなどの小さな飛んでいる昆虫を空中で捕らえて食べます。


⚠️ ミヤマアカネを探す!観察のポイントと保全の現状

美しいミヤマアカネに会うためには、どのような場所に注目すればよいでしょうか。

観察に適した場所と時期

  • 場所
    前述したような緩やかな流れのある小川や水路の周辺で、草が茂っている場所を重点的に探しましょう。
    羽化後や未熟な個体は水域から離れた草むらで過ごすこともあります。
  • 時期
    オスが鮮やかな赤色になる9月〜10月の秋の晴れた日には、水辺で縄張りを作るオスや、交尾・産卵を行うペアを見つけやすくなります。

保全の現状

近年、ミヤマアカネが生息する里山の小さな流れや土の水路は、護岸工事水田の整備などにより失われつつあります。
このため、多くの地域で個体数が減少し、準絶滅危惧種などに指定されていることがあります。

この美しいトンボを守るためには、多様な生物の生息に適した里山の水辺環境、特に土の護岸水草が生える浅い流れの保全が重要です。

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