秋の夜長、どこからともなく聞こえてくる「ガチャガチャ」という、まるで機械が動いているかのような大きな鳴き声。
その主こそ、クツワムシです。
その名前は、馬の口にはめる「轡(くつわ)」がぶつかる音に似ていることに由来します。
鳴き声は非常に特徴的で、一度聞けば忘れられません。
このユニークな鳴き声を手がかりに、クツワムシを効率的に見つける方法から、捕獲、さらには飼育のヒントまでを詳しく解説します。
クツワムシの生態と探し方の基本
クツワムシは、キリギリスの仲間の中でも特に大型の昆虫です。
その体は褐色または緑色をしており、大きな翅(はね)が特徴です。
昼間は草むらの奥深くに隠れており、なかなかその姿を見ることはできません。
しかし、日が落ちて暗くなると活動を始め、オスがメスを呼ぶために大きな声で鳴き始めます。
1. 鳴き声を聞き分ける
クツワムシ探しの第一歩は、鳴き声を正確に聞き分けることです。
彼らの鳴き声は、ほかの鳴く虫と比べて圧倒的に大きく、「ガチャガチャ」「カシャカシャ」という連続音です。
この鳴き声が聞こえたら、そこがクツワムシの生息地である可能性が高いです。
2. 活動時間と場所を把握する
クツワムシは夜行性のため、日が暮れてからが探し時です。
特に、夜8時以降に鳴き始めることが多いです。
生息地は、主に里山の林縁や河川敷、畑のあぜ道など、背の高い草が生い茂る場所です。
特に、彼らが好んで食べるクズ(葛)の葉が群生している場所は、クツワムシにとって理想的な環境です。
準備万端!クツワムシを見つけるための持ち物
夜間の昆虫採集を安全かつ快適に行うために、以下のアイテムを準備しておきましょう。
- ヘッドライトまたは強力な懐中電灯
クツワムシは草むらに隠れているため、手元を明るく照らすことが不可欠です。
両手が使えるヘッドライトは特に便利です。 - 軍手
クツワムシの顎は鋭く、噛まれると痛いことがあります。
また、草むらには鋭い枝や虫がいることもあるため、軍手で手を保護しましょう。 - 虫かご
捕まえたクツワムシを一時的に入れておくために必要です。 - 長袖・長ズボン
草むらに入るため、肌の露出を避け、虫刺されや怪我を防ぎます。
実践編|鳴き声の主を探し出す!
鳴き声が聞こえる場所まで来たら、いよいよ実践です。
以下の手順で慎重に探してみましょう。
- ゆっくりと近づく
鳴き声が聞こえる方向に、物音を立てずにゆっくりと近づきます。
クツワムシは振動や音に敏感なので、急な動きは避けましょう。 - 鳴き止んでも焦らない
懐中電灯を当てたり、近くに人が来たりすると、クツワムシは警戒して鳴き止んでしまうことがあります。
焦らず、数分間じっと待つと再び鳴き始めることが多いです。 - 葉っぱの裏を丹念に探す
鳴き声が聞こえる範囲の草を、懐中電灯で丁寧に照らしながら探します。
クツワムシは草の茎や、特に大きな葉っぱの裏に隠れていることが多いため、見逃さないようにしましょう。 - 捕獲のコツ
見つけたら、片手で虫かごを下に構え、もう一方の手でクツワムシがいる葉っぱをそっと揺らしたり、落としたりして捕獲します。
ジャンプ力が強いため、素早く動く必要があります。
捕まえたクツワムシを飼育してみよう
クツワムシを自宅で飼育するのも、その鳴き声を楽しむ良い方法です。
- 飼育ケース
大型なので、できるだけ広めの飼育ケースを用意しましょう。
通気性を確保するために、フタはメッシュや網目のものを選びます。 - 餌
クツワムシは主に草食性で、クズの葉が大好物です。
近くにクズが生えていれば、毎日新鮮な葉を入れ替えてあげましょう。
クズが手に入らない場合は、キュウリやナス、リンゴなどの野菜や果物でも代用できます。
また、共食いを防ぐためにも、煮干しや昆虫用のゼリーなど、動物性タンパク質も少量与えると良いでしょう。 - 単独飼育がおすすめ
過密な環境や餌が不足すると、共食いをしてしまうことがあります。
複数の個体を飼育する場合は、それぞれ別のケースに入れることをお勧めします。
クツワムシは、秋の風情を感じさせてくれる貴重な存在です。
鳴き声を手がかりに、その隠れた姿を探してみてはいかがでしょうか。
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