夏の終わりから秋にかけて、夜の帳が降りると「ガチャガチャ」「ギーギー」と独特な鳴き声が聞こえてきます。
この声の主であるクツワムシは、そのユニークな生態から昆虫愛好家にとって魅力的な存在です。
彼らの鳴き声は、まるで馬具の「轡(くつわ)」がぶつかり合う音に似ていることから、その名が付けられました。
この記事では、クツワムシを安全かつ確実に捕まえるための方法を、初心者の方にもわかりやすく解説します。
また、捕獲の際に役立つヒントや、捕まえた後の注意点についても詳しくご紹介します。
クツワムシを捕まえる前に知っておきたいこと
クツワムシを効率良く捕まえるには、まず彼らの生態と習性を理解することが成功の鍵となります。
1. 活動時間と習性
クツワムシは夜行性の昆虫です。
昼間は、捕食者から身を守るために、草むらや木の葉の裏に隠れてじっとしています。
そのため、捕獲は日没後に行うのが最適です。
特に、オスがメスを呼ぶために盛んに鳴き始める午後7時以降が最も狙いやすい時間帯です。
2. 主な生息場所
クツワムシは、主にマメ科のクズの群生地や、河川敷、森林の縁など、背の高い草木が茂る場所に生息しています。
彼らは、これらの場所で葉を食べたり、仲間とコミュニケーションをとったりしています。
クズの葉は彼らの大好物であり、クズが繁茂している場所は、クツワムシを探す上での重要な目印となります。
3. 鳴き声を手がかりにする
クツワムシの鳴き声は非常に大きく、20メートル以上離れていても聞こえるほどです。
オスがメスを呼ぶために鳴いているこの声は、彼らを探し当てる上で最も重要な手がかりとなります。
鳴き声が聞こえる方向にゆっくりと近づき、声を頼りに場所を特定しましょう。
クツワムシを捕まえるための準備
安全かつ確実にクツワムシを捕まえるために、以下の道具を準備しましょう。
1. 懐中電灯(ヘッドライト)
夜間の活動になるため、足元や手元を照らすために必須です。
特に、両手が自由になるヘッドライトは、網を構えたり、捕獲ケースを持ったりする際に非常に便利です。
また、クツワムシは光に集まる習性があるため、捕獲の際にも役立ちます。
2. 網(昆虫採集用の網)
クツワムシは草木の高い場所にいることが多いため、柄の長い網があると便利です。
網の直径は20〜30cm程度のものが扱いやすく、網目が細かいものを選ぶと、捕獲したクツワムシが逃げ出しにくくなります。
3. 捕獲ケース
捕まえたクツワムシを一時的に入れておくためのケースを用意します。
通気性が良く、蓋がしっかり閉まるものを選びましょう。
ケース内にクズの葉などを入れておくと、クツワムシが落ち着き、ストレスを軽減できます。
4. 軍手
クツワムシは臆病な性格ですが、捕獲時に噛みつこうとすることがあります。
強い毒などはありませんが、ケガの防止や、虫に直接触れるのが苦手な方は、軍手を着用することをおすすめします。
クツワムシの捕まえ方:実践編
さあ、準備が整ったところで、実際にクツワムシを捕まえに行きましょう。
1. 時間帯を選ぶ
前述の通り、クツワムシが活発に鳴き始める午後7時以降が最も捕獲しやすい時間帯です。
ただし、深夜になると鳴き声が落ち着くこともあるため、午後8時から10時頃がベストタイミングと言えるでしょう。
2. 鳴き声を探す
クズの群生地など、クツワムシが生息していそうな場所へ行き、耳を澄まして鳴き声を探します。
複数の個体が鳴いている場合は、最も音が大きく聞こえる方向にゆっくりと近づいていきましょう。
3. 光を頼りに見つける
クツワムシの鳴き声が近づいてきたら、懐中電灯で周囲を照らしてみましょう。
クツワムシは光に向かって飛んでくる習性があります。
また、葉っぱの上にじっと止まっているクツワムシを、光に照らされて初めて発見できることも多々あります。
4. 網で捕獲する
クツワムシを見つけたら、驚かせないようにそっと網をかぶせ、捕獲します。
クツワムシは意外とすばしこいので、素早く、そして正確に網を動かすことが重要です。
5. 手で捕まえる
もし近くにいて網が使えない場合は、後ろから静かに近づき、手でそっと包み込むように捕まえます。
この時、親指と人差し指でクツワムシの胸部を優しく押さえるようにすると、噛まれずに捕まえることができます。
捕まえた後の注意点と倫理的な配慮
クツワムシを捕まえた後は、以下の点に注意し、倫理的な配慮を忘れずに行動しましょう。
1. 飼育する場合
捕まえたクツワムシを飼育する場合は、通気性の良いケースに入れ、すぐに水とエサ(キュウリやクズの葉など)を入れてあげましょう。
また、クツワムシはストレスに弱いので、頻繁に触ったり、大きな音を立てたりしないように注意してください。
2. 採集は計画的に
クツワムシは生態系の一部です。
必要以上に捕獲せず、観察を楽しむなど、自然に配慮した行動を心がけましょう。
また、捕獲場所の環境を壊さないように、植物をむやみに踏みつけたり、ゴミを捨てたりしないようにしてください。
3. 採集禁止区域の確認
一部の国立公園や自然保護区では、昆虫採集が禁止されている場合があります。
事前に、採集を予定している場所のルールを確認しておきましょう。
このガイドを参考に、あなたもクツワムシの捕獲に挑戦し、夏の夜の思い出を作ってみませんか?
クツワムシの不思議な生態と力強い鳴き声は、きっとあなたを魅了してくれるはずです。
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