水生昆虫の中でも、そのユーモラスな泳ぎと、水草をムシャムシャと食べる姿が愛らしい「ガムシ」。
せっかく縁があって迎え入れたガムシなら、一日でも長く健康に育てたいと思うのは当然のことです。
しかし、ガムシの寿命については意外と知られていない事実が多くあります。
「1年で死んでしまうの?」「冬はどうすればいい?」「動かなくなったけどこれは寿命?」といった疑問を抱える飼育者の方も少なくありません。
この記事では、ガムシの平均寿命から、寿命を最大化させるための環境づくり、そして「死」と見間違えやすい習性まで解説します。
1. ガムシの寿命の目安は?(野生と飼育下)
まず結論からお伝えすると、ガムシ(成虫)の平均寿命は「約1年〜2年」です。
昆虫の世界では、成虫になってから数週間〜数ヶ月で一生を終える種が多い中、ガムシは比較的「長寿」な昆虫といえます。
野生下でのサイクル
野生のガムシは、春(5月〜6月頃)に羽化し、その夏に繁殖活動を行います。
その後、秋を越えて冬眠(越冬)し、翌年の春〜夏にかけて再び活動・産卵をした後、寿命を迎えるのが一般的なサイクルです。
つまり、野生では「1年〜1.5年」程度が標準となります。
飼育下での可能性
飼育下では、天敵である鳥や魚に襲われる心配がなく、餌が枯渇することもありません。
適切な水温管理と水質維持ができれば、2年以上生きる個体も珍しくありません。
中には「3年近く生きた」という愛好家の報告もあります。
2. ガムシを長生きさせるための「5つの絶対条件」
ガムシの寿命を延ばすためには、単に餌を与えるだけでなく、彼らの生理生態に合わせた環境を整える必要があります。
① 植物性と動物性の「ハイブリッド給餌」
ガムシは「水中の掃除屋」と呼ばれ、成虫は植物質を好む雑食性です。
- メインの餌
アナカリス、カボンバ、マツモなどの水草を常に入れ、いつでも食べられる状態にします。 - タンパク質源
週に数回、ザリガニの餌や熱帯魚用の底生魚フード(プレコタブレットなど)を与えてください。これだけで栄養バランスが劇的に改善され、体力がつきます。 - 注意点
食べ残しは水質を急速に悪化させるため、翌朝には取り除く習慣をつけましょう。
② 「足場」こそが命を救う
ガムシ飼育で最も多い事故が、意外にも「溺死(できし)」です。
ガムシはゲンゴロウに比べて泳ぎが不器用です。
水面に上がって空気を吸う際、つかまる場所がないとパニックになり、体力を消耗して沈んでしまいます。
水面まで届く流木、石、または背の高い水草を必ず配置してください。
特に「高齢」のガムシは筋力が落ちるため、水深を少し浅くしてあげるのも長生きの秘訣です。
③ 水質の安定(カルキ抜きとろ過)
ガムシは生命力が強いですが、アンモニア濃度が高い水では内臓にダメージを受け、寿命が短くなります。
- 水換え
1〜2週間に一度、全水の3分の1程度を新しい水(必ずカルキを抜いたもの)に交換します。 - ろ過
小さな投げ込み式フィルター(ぶくぶく)があると酸素供給と水質安定の両立ができます。
④ 飛翔による「事故死」の防止
ガムシは夜間に非常に活発に飛び回ります。
蓋の隙間から脱走し、部屋の隅で乾燥して死んでしまう(干からびる)ケースが非常に多いです。
網目の細かい蓋をしっかり閉め、重りを置くなどの対策を徹底しましょう。
⑤ 水温の急変を避ける
ガムシは20〜25℃を好みます。
- 夏場
30℃を超えると体力を著しく消耗します。
日陰に置くか、冷却ファンを使用してください。 - 冬場
5℃以下になると動かなくなりますが、凍結さえしなければ越冬可能です。
3. ガムシの「死んだふり」と寿命の見分け方
ガムシには、ショックを受けると足をピタリと止めて動かなくなる「擬死(ぎし)」という習性があります。
死んだふり(擬死)の特徴
- 網ですくった直後に足を縮めて固まる。
- 水槽の掃除などで驚かせたときに、水底に沈んで動かなくなる。
- 見分け方
10分〜20分ほど、暗く静かな場所に放置して様子を見てください。
いつの間にか動き出していれば、それは死んだふりです。
寿命・衰弱死の特徴
- 足がだらりと開き、縮める力がない。
- 触角や口元を触っても全く反応がない。
- 数時間放置しても場所が変わっていない。
もし「最近動きが鈍いな」と感じたら、それは老衰のサインかもしれません。
その場合は水深をさらに浅くし、餌を口元に運びやすい環境にしてあげましょう。
4. 寿命を全うさせる「冬越し(越冬)」のテクニック
ガムシが2年生きられるかどうかは、冬をいかに安全に過ごさせるかにかかっています。
- 室内飼育の場合
水温が15℃程度あれば、冬眠せずにゆっくり活動を続けます。
この場合、餌は少なめに与え続けます。 - 屋外・低温飼育の場合
5〜10℃以下になると冬眠状態に入ります。
底の方でじっとしているため、無駄に触って起こさないようにしましょう。
水が凍りつかないよう、厚手の発泡スチロール容器に入れるのがおすすめです。
まとめ:ガムシの一生をサポートするために
ガムシの寿命は約1〜2年と限られていますが、その期間中に見せる生態は非常に興味深いものです。
- 植物質の餌(水草)をメインに、タンパク質も補給する。
- 溺れないように「足場」を完璧に整える。
- 脱走防止の蓋を徹底する。
この3点を守るだけで、ガムシの生存率は飛躍的に高まります。
水槽の中で銀色のお腹を輝かせて泳ぐガムシと、一日でも長く楽しい時間を過ごしてくださいね。


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