ヤゴを捕まえることは、自然とのふれあいを通じて、生命の神秘や成長の過程を間近で観察できる、子どもから大人まで誰もが楽しめる貴重な体験です。
水辺にひっそりと暮らすヤゴは、少しの工夫と知識があれば、比較的簡単に見つけることができます。
ヤゴが息づく場所を知る
ヤゴを見つける第一歩は、彼らがどのような環境を好むかを知ることから始まります。
トンボの幼虫であるヤゴは、水生生物として、私たちの身近な水辺に多様な種が生息しています。
それぞれの種類によって、好む水質や底質、隠れ家となる水草の種類が異なりますが、共通して言えるのは「比較的安定した淡水環境」を好むということです。
身近な場所での発見
- 学校のプール
ヤゴにとって学校のプールは、非常に良い生息環境を提供していることがあります。
特に、夏季が終わって水が抜かれるプールの底や壁面、排水溝付近には、想像以上に多くのヤゴが潜んでいることがあります。
プールの水質は基本的にきれいに保たれており、捕食者となる大型魚が少ないため、ヤゴが育ちやすい環境と言えます。
プール清掃の際など、水が減る時期は絶好の観察・捕獲チャンスとなります。 - 公園の池やため池
公園に設けられた池や、かつて農業用水として使われていたため池は、ヤゴの宝庫です。
これらの水辺には、水草が豊かに生い茂り、泥や落ち葉が堆積していることが多く、ヤゴが隠れ蓑としたり、餌となる小さな水生生物が豊富に生息しています。 - 田んぼ
水田は、特に初夏から夏にかけて、たくさんのヤゴが育つ場所です。
水稲が育つ間、水が張られた田んぼは、日当たりも良く、水温も適度に保たれるため、ヤゴの成長には最適です。
ただし、農薬の使用状況によっては生息数が少ない場合もありますので、注意が必要です。 - 小川、細流、用水路
清らかな水の流れる小川や、生活用水として利用される細流、農業用水路なども、ヤゴの生息地となります。
特に、オニヤンマのヤゴのように、比較的流れのある場所を好む種類もいます。
これらの場所では、石の下や水草の根元など、水の勢いが弱まる場所に隠れていることが多いです。
効率的な探索のヒント
ヤゴを探す際は、単に水面を見るだけでなく、水底の様子、水草の茂り方、石の配置などに注目すると良いです。
ヤゴは基本的に底生生物であり、捕食者から身を守るために、物陰に隠れる習性があるからです。
- 水草の密集地
ホテイアオイやミズクサなど、水中に茂る植物の葉や茎には、たくさんのヤゴがしがみついていることがあります。 - 泥底や落ち葉の堆積場所
泥の中や、水底に積もった落ち葉の下には、泥に潜るタイプのヤゴが隠れています。 - 石の下や隙間
川底の石を持ち上げてみると、その裏側や隙間にヤゴが付着していることがあります。
ヤゴを捕まえるための準備と実践

ヤゴ捕獲は、適切な道具と方法を知っていれば、誰でも簡単に行うことができます。
大切なのは、ヤゴやその他の水生生物、そして水辺の環境に配慮する心を持つことです。
🛠️ 用意する道具
- 魚網(あみ)
ヤゴ捕獲の必需品です。- 種類
丈夫な柄の付いた、目の細かい魚網が適しています。
100円ショップで手に入る熱帯魚用の網でも十分使えますが、より本格的に広い範囲を探したい場合は、昆虫採集用の網や、池などで使用する大型の網も有効です。 - 網の材質
ナイロン製など水切れの良い素材を選びましょう。 - 網目の細かさ
小さなヤゴや、ヤゴ以外の水生生物も捕獲できるような、細かすぎない網目(1~2mm程度)が適しています。
- 種類
- バケツまたは透明な容器
捕獲したヤゴを一時的に入れて観察するために使います。
透明な容器だと、捕獲したばかりのヤゴの動きや様子をすぐに確認できて便利です。 - 手袋
水辺での作業は、思わぬ怪我や汚れを防ぐために手袋を着用することをおススメします。 - ピンセット
捕獲した泥の中から小さなヤゴを見つけ出す際や、網に絡まった水草を取り除く際に便利です。 - 虫眼鏡
ヤゴの細部を観察するのに役立ちます。
捕獲方法のステップ
1. 水中の泥や水草をすくい取る
最も一般的なヤゴの捕獲方法です。
- 狙いを定める
ヤゴがいそうな水草の茂み、泥が堆積している場所、石の下などを探します。 - 網を差し込む
網の開口部を水底にしっかりとつけ、水草の根元や泥の中に差し込みます。 - すくい上げる
網をゆっくりと水底に沿って手前に引きながら、水草や泥、小石などを一緒にすくい上げます。
この時、勢いよく動かすと水中の泥が舞い上がり、視界が悪くなるだけでなく、ヤゴを驚かせてしまう可能性があるので注意しましょう。 - 内容物を確認する
すくい上げた内容物を、バケツや透明な容器に移し、その中からヤゴを探します。
水草の茎や葉、小石の裏側などにヤゴが隠れていることが多いです。
2. 手づかみでの捕獲
一部のイベントなどで体験できる、より直接的な捕獲方法です。
- 水底をかき混ぜる
泥底の場所で、水底をゆっくりとかき混ぜてみます。
泥の中に潜っていたヤゴが浮き上がってくることがあります。 - 石をひっくり返す
比較的浅瀬にある石をそっと持ち上げて裏返すと、その裏側にヤゴが付着していることがあります。 - 優しく捕まえる
ヤゴを見つけたら、指の腹を使って優しく掴みます。
ヤゴの体は柔らかいので、力を入れすぎないように注意が必要です。
特に、トンボの種類によっては尾部に鋭いトゲがあるものもいるため、取扱には注意しましょう。
3. プールでの捕獲
プールでのヤゴ捕獲は、他の水辺とは異なる特徴があります。
- 水の少ない時期を選ぶ
プール清掃などで水が抜かれ、水深が浅くなった時期が最も捕獲しやすいです。 - 壁面や排水溝を探す
プールの壁面や、排水口付近の狭い隙間には、水が少なくなってもヤゴがしがみついていることがあります。 - 底の堆積物をチェック
プールの底に溜まった泥や落ち葉の中にもヤゴは隠れています。
捕獲時の心得と安全管理

ヤゴ採集は楽しい体験ですが、自然環境への配慮と安全対策が不可欠です。
🌳 自然環境への配慮
- 生物を大切にする
捕獲したヤゴは、必要以上に持ち帰らず、飼育する分だけにし、観察後は元の場所に戻すか、適切な飼育環境を提供しましょう。 - 環境への影響を最小限に
水草を根こそぎ採ったり、水底を大きく荒らしたりしないように注意しましょう。 - 外来種の拡散防止
捕獲した生物を、別の場所の自然水系に放すことは絶対に避けましょう。
生態系を破壊する可能性があります。
👨👩👧👦 安全に楽しむために
- 保護者の方と一緒に
特に子どもが参加する場合は、必ず保護者の方が付き添い、安全を確保してください。 - 滑りやすい足元に注意
水辺は滑りやすい場所が多いです。
滑りにくい靴を履き、足元に注意しながら行動しましょう。 - 水深に注意
深い池や川には近づかないようにし、特に子どもからは目を離さないでください。 - 感染症予防
水辺の生物や泥には、目に見えない菌がいることがあります。
捕獲後は手洗い・消毒を徹底しましょう。 - 天候の変化に注意
雷雨の時や、増水の恐れがある時は、無理に活動を続けないようにしましょう。 - 熱中症対策
夏場の活動では、こまめな水分補給と休憩をとり、帽子を着用するなどして熱中症対策を怠らないようにしましょう。
🕵️♀️ ヤゴを見分けるヒント
ヤゴには様々な種類があり、それぞれ姿形が異なります。
- イトトンボ科
細身で小さく、葉の上に隠れることが多いです。
尾部に3枚の鰓(えら)状の突起があります。 - トンボ科
ずんぐりとした体形で、水底の泥や落ち葉の中に潜んでいることが多いです。 - ヤンマ科
大型で、体色が濃く、獰猛な顔つきをしています。
流れのある場所を好む種類が多いです。
これらを知っておくと、捕獲したヤゴがどんな種類のトンボになるのか、という楽しみが増えます。
ヤゴ採集は、私たちの周りに広がる豊かな自然と触れ合う素晴らしい機会です。
安全に配慮し、環境を大切にしながら、ぜひこの生き物探しに挑戦してみてください。
捕獲したヤゴがやがて美しいトンボへと変態する姿は、きっと忘れられない感動を教えてくれると思います。


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