「子供が学校からヤゴをもらってきた」「庭のビオトープにいつの間にかヤゴがいる」…そんなきっかけでヤゴについて調べている方は多いのではないでしょうか。
トンボの幼虫であるヤゴは、水中のハンターとしての顔と、羽化して空へ飛び立つ劇的な変化を持つ非常に魅力的な生き物です。
この記事では、初心者の方でも迷わないヤゴの育て方や、種類別の特徴、そして最も失敗しやすい「羽化」を成功させる秘訣を解説します。
ヤゴとは?そのユニークな生態と驚きの身体能力
ヤゴは、不完全変態をする昆虫であるトンボの幼虫です。
幼虫の時期を数ヶ月から、種類によっては数年(オニヤンマなど)も水中で過ごします。
驚異の「下唇」による捕食メカニズム
ヤゴの最大の特徴は、顔の下に折りたたまれた「下唇(かしん)」です。
獲物が近づくと、このアゴを瞬時に伸ばして捕らえます。
そのスピードは目にも止まらぬ速さで、水中の生き物たちにとって恐ろしい捕食者です。
お尻で呼吸してジェット噴射で進む
多くのヤゴ(不均翅亜目)は、直腸にある気管エラで呼吸をします。
吸い込んだ水を一気に噴射することで、敵から逃げたり移動したりする際の「ジェット推進」として利用します。
この仕組みは、他の昆虫には見られないヤゴ独自のユニークな身体機能です。
種類別の見分け方|このヤゴ、将来は何のトンボになる?

ヤゴの姿形を見れば、将来どんなトンボになるのかがある程度予測できます。
主な4つのタイプを紹介します。
① ヤンマ型(ギンヤンマなど)
体が細長く、目が非常に大きいのが特徴です。
水生植物に捕まって獲物を待ち伏せたり、積極的に泳いで獲物を探したりします。
② トンボ型(アキアカネ・シオカラトンボなど)
体がやや平たく、脚がしっかりしています。
田んぼの泥や落ち葉の中に潜んでいることが多く、がっしりとした体格です。
③ サナエトンボ型(コオニヤンマなど)
非常に平べったい体をしており、うちわのような形をしています。
川の砂底に張り付くように生息し、砂に潜るのが得意です。
④ イトトンボ型
棒のように細長く、お尻の先に3枚の葉っぱのような「尾鰓(びさい)」があるのが最大の特徴です。
他のヤゴとお尻の形が全く違うので、すぐに見分けがつきます。
ヤゴの餌は何?手に入らない時の代用案と注意点
ヤゴは生きた獲物しか食べない「純粋な肉食」です。
飼育下では餌の確保が最大のハードルになります。
- 定番の餌
釣具店や熱帯魚ショップで購入できる「赤虫(アカムシ)」が最も食いつきが良いです。
大型のヤゴにはメダカの稚魚やオタマジャクシも適しています。 - 餌が手に入らない時の工夫
死んだ赤虫や刺身の切れ端をピンセットで挟み、ヤゴの目の前で細かく震わせて「生きている」ように見せると食べることがあります。 - 注意点
食べ残した餌はすぐに水質を悪化させ、ヤゴの死に直結します。
必ず翌日には取り除くようにしましょう。
羽化を成功させるための必須条件と失敗の原因
ヤゴの飼育で最も感動的、かつ最も難しいのが「羽化」です。
失敗するとトンボになれずに死んでしまう「羽化不全」が起こります。
成功の鍵は「羽化棒(登り棒)」の設置
ヤゴは水から這い上がり、体を固定して羽化します。
割り箸や表面がザラザラした天然の枝を、水底から水面上まで垂直に近い角度で立ててください。
ツルツルしたプラスチックの棒や、細すぎる棒だと滑って落ちてしまうため、掴まりやすい素材を選ぶのがポイントです。
羽化が近いサインを見逃さない
羽化が近づくと、背中の羽が入っている袋(翅芽)が大きく膨らみ、餌を全く食べなくなります。
また、肺呼吸の準備のために水面から顔を出す時間が増えます。
この状態になったら、水槽を振動のない静かな場所に移動させ、夜間の観察も控えめにしましょう。
まとめ|ヤゴの観察を通じて自然の循環を学ぼう
ヤゴを育てることは、水中の生態系を理解する第一歩です。
泥臭い水底でじっと獲物を待ち、何度も脱皮を繰り返しながら、最後には空へと飛び立つ姿は、大人でも感動するものです。
最後に、飼育のポイントをおさらいしましょう。
- 餌は「動き」が重要
生き餌が基本ですが、工夫次第で代用も可能です。 - 適切な水質を維持
食べ残しは放置せず、カルキを抜いた水を使いましょう。 - 羽化の足場を完璧に
登りやすい棒一本が、ヤゴの運命を分けます。
最後は、羽がしっかり乾いて飛び立つ準備ができたら、元いた場所や近くの池に逃がしてあげてください。
広い空を飛ぶ姿を見送るまでが、ヤゴ飼育の醍醐味です。


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