なぜミドリシジミは人気?その魅力と採集の難易度
ミドリシジミ(緑小灰蝶)は、その名の通り、オスの翅の表面がメタリックに輝く美しい緑色をしていることで知られる、ゼフィルス(Zephyrus)と呼ばれるグループのチョウです。
この宝石のような輝きから、多くのチョウ愛好家やカメラマンを魅了し続けています。
しかし、ミドリシジミは平地の雑木林や湿地に生息し、飛翔力が高く、活動時間も限られているため、採集の難易度はやや高めです。
闇雲に探すのではなく、生態と習性を理解することが成功への近道となります。
ミドリシジミを捕まえる「ベストな時期と時間帯」
ミドリシジミを捕まえるためには、活動のピークを狙うことが極めて重要です。
1. 採集のベストシーズンは?
| 項目 | 詳細 | 補足 |
| 発生時期 | 6月上旬〜7月上旬 | ほぼ年一化(年に一度だけ発生)です。 この期間を逃すと次の一年待つことになります。 |
| 地域差 | 北に行くほど遅くなる傾向があります。 | 関東周辺では6月中旬〜下旬が最盛期となることが多いです。 |
2. 最も活動的な時間帯は?
ミドリシジミは、午前中、特に太陽がしっかりと照りつける時間帯に活発に活動します。
- 午前9時〜正午頃
オスが縄張り争いのための「テリトリー(占有行動)」を行うため、比較的低い位置や同じ場所を飛び回るのを目撃しやすくなります。 - 午後
気温が上がりすぎると活動が鈍り、樹冠の高い位置で休息することが多くなり、捕まえにくくなります。
どこを探せば見つかる?ミドリシジミの生息環境と食草
ミドリシジミは特定の環境と植物に強く依存しています。
この条件が揃っている場所を探しましょう。
1. 生息環境(場所)のヒント
- 平地〜低山帯の雑木林
特に、ハンノキ林やヤナギ類が群生する湿地、ため池の周辺に多く見られます。 - 明るい林縁部
日当たりが良い場所や、林道沿いの切り開きなど、チョウが飛びやすい空間がある場所が狙い目です。
2. 最も重要な「食草(幼虫の食べる植物)」
ミドリシジミの幼虫は、特定の樹木(寄主植物)の芽や花を食べます。
成虫がその周りを離れないため、これらの木を見つけることが重要です。
| 重要な食草 | 特徴 |
| ハンノキ | 湿地に多く生える。ミドリシジミの主要な食草です。 |
| オノエヤナギ | ヤナギの仲間。ハンノキがない場所で食草となることがあります。 |
成功率を高める!具体的な捕まえ方のテクニック
ミドリシジミは機敏で、ネットを振るタイミングが非常に重要です。
1. 網(ネット)の選び方
- 網のサイズ
できれば口径36cm以上の大きめの捕虫網(昆虫採集ネット)を用意しましょう。
ミドリシジミの速い飛翔をカバーできます。 - 網の深さ
深く、目の細かい素材のネットを選びましょう。
2. 狙うべき行動パターン
最も捕まえやすいのは、テリトリー行動(縄張り争い)をしているオスです。
- テリトリーの場所を見つける
林縁の少し高い位置にある、目印になるような木の枝や葉の上でオスが休んでいる場所を見つけます。 - 待ち伏せする
オスは一度飛び立っても、ほぼ同じ場所に戻ってくる習性があります。
待ち伏せが基本です。 - 上から被せるように振る
戻ってきたオスや、パトロールのために飛び回っているオスに対し、ネットを横から振るのではなく、動きを先読みし、上からフワッと包み込むように振り下ろします。
地面に垂直に振ることで、逃げ道を塞ぎやすくなります。
3. 採集時の注意点
- 高所の個体は無理をしない
ハンノキやヤナギの頂上付近を飛んでいる個体は、無理に高いネットで狙わず、低い位置に来るのを待ちましょう。 - 曇りや雨の日は避ける
天候が悪い日は、樹冠の高い位置でじっとしていることが多く、採集は困難です。
ミドリシジミ採集のマナーと環境への配慮
チョウの採集は、自然環境への配慮とマナーが不可欠です。
- 私有地や立ち入り禁止区域に入らない
採集する場所のルールを必ず守りましょう。 - 必要以上の採集は控える
観察や標本に必要な数だけを採集し、特にメス(繁殖に重要な役割を持つ)の乱獲は避けましょう。 - 環境の保護
食草のハンノキや周辺の植物を傷つけないように注意しましょう。
まとめ:ミドリシジミ採集成功のチェックリスト
| 項目 | チェック |
| 📅 時期 | 6月上旬〜7月上旬か? |
| 🌞 時間 | 午前9時〜正午の晴天時か? |
| 🌳 場所 | ハンノキやヤナギのある湿地の林縁か? |
| 🎯 技術 | テリトリー行動を待ち伏せ、上から被せるようにネットを振るか? |
このガイドを参考に、ぜひ美しいミドリシジミとの出会いを実現してください。
その宝石のような輝きは、努力を裏切らない感動を与えてくれるはずです。

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